「資料作成、まだ終わらないの?」 「すみません、ここのフォントとレイアウトが気になって……」 「メールの返信、遅くない?」 「失礼がないように、何度も推敲していて……」
昔のわたしです。 とにかく真面目。100点満点じゃないと提出できない。誤字脱字は死罪に値する。 そうやって、自分の首を自分で締め上げていました。
その結果どうなったか? 仕事は遅れ、残業は増え、最終的には適応障害でダウンしました。 「100点」を目指した結果、人生が「0点(無職)」になってしまったのです。
しかし、復帰後のわたしは変わりました。 スローガンは「60点で出せ」。
不思議なことに、ハードルを下げてからの方が、仕事の成果が出るようになり、キャリアも年収も上がっていきました。 今回は、真面目すぎて苦しんでいるあなたへ、わたしが実体験で学んだ「戦略的60点主義」のススメを説きます。
なぜ「100点」を目指すと、キャリアが詰むのか

まず、残酷な現実をお伝えします。 学校のテストでは「100点」が偉いとされますが、ビジネスの世界では「時間をかけすぎた100点」は「赤点」です。
1. 相手の「100点」は、出すまでわからない
完璧主義の人は、自分の頭の中にある「完璧」を目指して、何日もかけて資料を作り込みます。 しかし、いざ上司やクライアントに出すと、 「いや、求めてたのはこういうことじゃないんだよね」 と言われ、全修正になる。
これ、地獄ですよね。 時間をかければかけるほど、やり直しになった時の精神的ダメージは大きくなります。 ビジネスにおける正解は、相手の中にしかありません。自分だけで100点を目指すのは、ゴールのないマラソンを全力疾走するようなものです。
2. スピードこそが、最大の品質である
建設現場でも、デスクワークでも同じです。 「1週間かけて出てくる100点の仕事」より、「30分で出てくる60点の仕事」の方が、圧倒的に価値があります。
なぜなら、早ければ早いほど「修正」ができるからです。 60点で出して、「ここは直して」と言われたら直せばいい。それを繰り返せば、結果的に120点のものが完成します。 抱え込んで時間を浪費する人は、この「修正のチャンス」を自ら捨てているのです。
高卒のわたしが駆け上がれたのは「60点」を連発したから
わたしには、大卒エリートのような地頭の良さも、完璧な事務処理能力もありません。 そんなわたしが、なぜ施工管理として評価され、社長になり、今また統括マネージャーとして働けているのか。
それは、「60点のアウトプットを、人の3倍のスピードで投げ続けたから」です。
「とりあえず」でバットを振れ
完璧主義の人は、一度もバットを振りません。「ホームランを打つ準備」ばかりしています。 わたしは違います。 「ボテボテのゴロでもいいから、とりあえず振る」 「空振りでもいいから、振ってから考える」
- 企画書? AIに作らせた骨子(60点)をそのまま出す。
- メール? 誤字が一つあってもいいから、即レスする。
- 会議? 準備不足でも、とりあえず発言する。
これを繰り返すとどうなるか。 圧倒的に**「打席数(経験値)」**が増えるのです。 1回のホームランを狙って悩み続けている人が1打席に立っている間に、わたしは10打席立って、3回ヒットを打っている。 この「試行回数の差」が、1年、3年と積み重なると、埋められないキャリアの差になります。
高卒が這い上がるには、質より量です。 量をこなすためには、いちいち100点なんて取っていられないのです。
明日からできる「戦略的60点」の仕事術
では、具体的にどうやって「60点主義」に切り替えるのか。 真面目なあなたのために、今日から使えるテクニックを3つ伝授します。
1. 期限の「2割」の時間で、一度提出する
上司から「これ、来週の金曜までにやっておいて」と言われたら。 多くの人は、木曜や金曜ギリギリまで粘って完成度を高めようとします。
わたしは違います。 「月曜か火曜」に出します。 中身はボロボロでいいんです。 「方向性だけ確認したいので、ざっくり作ってみました。認識合ってますか?」
これなら、作成時間は30分で済みます。 もし方向性が違っていても、傷は浅い。上司も「おっ、仕事が早いな」と評価してくれます。 フライングこそが、60点主義の真骨頂です。
2. 「悩む時間」を制限する
「どっちのデザインがいいかな…」「この言い回しで大丈夫かな…」 この「悩んでいる時間」は、何も生み出していません。ただの時間の浪費です。
わたしは、「3分考えて答えが出ないなら、どっちでもいい」と決めています。 サイコロを振って決めてもいいレベルです。 どうしても決められないなら、AIに「どっちがいい?」と聞くか、上司に「AとBで迷ってます」と投げます。 自分一人で抱え込んで悩むのをやめるだけで、仕事は劇的に速くなります。
3. AIに「60点の土台」を作らせる
ここでもAI(ChatGPTなど)が最強の味方になります。 白紙の状態から自分で考えると、どうしても時間がかかります。
- 「〇〇についての謝罪メールの文面を書いて」
- 「〇〇プロジェクトのスケジュール案を表形式で作って」
AIが出してくる答えは、だいたい60点〜70点です。 それでいいんです。 0から1を作るのが一番しんどい。AIに60点を作らせて、自分はそれを80点にするための「修正」だけやる。 これなら、エネルギー消費は1/10で済みます。
まとめ:自分に「合格点」を出してあげよう
適応障害になって気づきました。 自分を追い込んで100点を目指しても、誰も幸せにならないと。 自分が壊れたら、元も子もありません。
「まあ、こんなもんでいいか」 「死ぬわけじゃないし」
この口癖は、逃げではありません。長く働き続け、確実に成果を出すための「魔法の呪文」です。 肩の力を抜いてください。 60点で出し続けていれば、いつの間にかあなたは、誰よりも高い場所に駆け上がっています。
さあ、今日の仕事も「適当(適切な加減)」に片付けて、早く帰りましょう。

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