「なんであの部下は、言ったことしかできないんだ?」 「なんで私は、こんな簡単なこともミスするんだ…」
仕事をしていると、毎日イライラしたり、落ち込んだりしますよね。 その感情の正体、何だと思いますか?
能力不足? 環境のせい? 違います。犯人はあなたの心の中にいる「期待」という化け物です。
「相手はこう動くべきだ」 「自分はこうあるべきだ」
この「勝手な期待」が裏切られた時、人はストレスを感じます。 かつて私も、この化け物に食い殺されかけました。だからこそ言えます。
「期待するな。絶望から始めろ」
今日は、人間関係も仕事も劇的にラクにする、「戦略的諦め(あきらめ)」の技術を伝授します。 冷たい話に聞こえるかもしれませんが、これが最も温かく自分を守る方法です。
そもそも、なぜ人は「期待」で自爆するのか
ここに、ストレスを生む「呪いの方程式」があります。
ストレス(怒り・悲しみ) = 期待値 - 現実
例えば、部下に「100の仕事」を期待したのに、「60の成果」しか出なかった。 100 - 60 = 40の怒りが発生します。
逆に、最初から「こいつは新入りだし、どうせ20くらいしかできないだろう」と思っていたら? 現実が60なら、20 - 60 = -40(感動・喜び)になります。
現実は同じ「60」なのに、あなたの「期待値」次第で、怒りにも喜びにも変わるんです。 つまり、ストレスの原因は相手ではなく、あなたが勝手に設定した「高すぎるハードル」にあるのです。
私が壊れた理由は「理想の自分」への期待だった
私が適応障害で倒れた時もそうでした。 「社長なんだから、弱音を吐いてはいけない」 「誰よりも早く出社して、完璧な判断をしなきゃいけない」
自分に対して「期待値120」を課していました。 でも、人間のキャパシティなんてそんなにありません。現実の私は疲弊し、ミスをし、期待値とのギャップに押しつぶされて動けなくなりました。
期待は、人を殺します。 まずはこの事実を認めてください。
HACK 1:他人への期待を捨てる「天気予報メソッド」

では、具体的にどうすればいいか。 まずは対人関係です。
部下、上司、家族、友人。 イライラするのは、彼らを「自分の思い通りに動かせる」と勘違いしているからです。
他人は「雨」と同じ。怒っても晴れない
私は他人を「自然現象(天気)」だと思っています。
現場仕事で、いきなり雨が降ってきたとします。 空に向かって「ふざけんな!なんで降るんだ!止まれ!」と本気で怒鳴る人はいませんよね? 「あー、雨か。じゃあカッパ着るか(対策)」と淡々と思うだけです。
人間も同じです。
- 部下がミスをした → 「そういう時期(雨)か」
- 上司が理不尽に怒鳴った → 「今日は雷が鳴ってるな」
コントロールできないものに感情を使うのは、エネルギーの無駄です。 「なんで?」と考えず、「ああ、そういう現象ね」と受け流す。これがプロのドライさです。
「やってくれたらラッキー」の加点法
基本設定を「他人は何もしてくれない(期待値0)」にしておきます。
- 挨拶してくれた → ラッキー!
- 期限通りに書類が出た → すごい!神かよ!
- ミスをした → まぁ、人間だもんね(想定内)
こうなると、人生は「加点法」になります。 毎日が「ラッキー」の連続になる。 周りから見れば「あの人はいつも機嫌がいい寛大な人」に見えるでしょう。中身は単に「全員を見下している(期待していない)」だけなのに、です(笑)。
HACK 2:自分への期待を捨てる「60点主義」

次に、一番厄介な「自分への期待」です。 真面目な人ほど、自分を追い込みます。
「もっと頑張らなきゃ」 「こんな成果じゃ満足できない」
やめましょう。それは向上心ではなく、自傷行為です。
「今日は出社した。偉い」までハードルを下げる
私が復職した時、自分に課した合格ラインは「生きて家に帰る」ことだけでした。
- 朝、起きられた → 100点
- 会社に行った → 120点
- 仕事をした → 200点
これくらい下げてください。 「60点でいい」と口癖のように唱えるんです。 常に100点を出そうとするF1カーは、一度の故障で廃車になります。 でも、60点で走り続ける軽トラは、日本中どこまでも走れます。
長く社会で生き残るのは、F1カーではなく軽トラです。
「諦める」の語源は「明らかに極める」
「諦める」というとネガティブに聞こえますが、本来の仏教用語では「明らかに極める(あきらかにきわめる)」という意味があります。
自分の能力の限界、他人の性質。 それらを冷静に観察し、「できないものはできない」と認めること。 これは敗北ではなく、「現状把握(戦略)」です。
「俺にはこれは無理だ。だからAIに任せよう」 「あの人には期待できない。だから仕組みでカバーしよう」 諦めるからこそ、次の具体的な手が打てるようになるんです。
ドライでいろ。それが「プロ」の優しさだ
「期待しないなんて、冷たい人間になりそうで怖い」 そう思う優しいあなたへ。
逆です。期待するから、裏切られて相手を憎むことになるんです。
感情の車間距離を空ける
車の運転と同じです。 前の車(相手)に期待して車間距離を詰めすぎると、急ブレーキを踏まれた時に追突事故(喧嘩・トラブル)が起きます。
「この人はこういう人だ」と割り切って、適切な「感情の車間距離」を取る。 これがドライであるということです。 ぶつからないから、長く一緒に走れる。 依存しない、干渉しない。その距離感こそが、大人の健全な人間関係だと私は思います。
まとめ
あなたは、今のままで十分です。 誰かに期待するのも、自分に期待して苦しむのも、もう終わりにしましょう。
「ま、いっか」 「人間だもの」 「生きてるだけで丸儲け」
この言葉を盾にして、重たい「期待」という鎧を脱ぎ捨ててください。 身軽になったあなたは、きっとこれまでよりも高く、遠くまで行けるはずです。

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