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エアー気密試験は「爆弾」と同じ。水圧テストの面倒さと外気温に狂わされる現場のリアル

水を入れると拭くのが面倒やからエアーでやりましょう。
若手にこう言われたことありませんか。

事故報告書を読むと動機はだいたいこれなんです。
今日はその話をさせてください。

目次

1. 導入:まず「気密試験」と「耐圧試験」を分けて考えろ

先にはっきりさせておきます。
エアーを使う試験が全部あかんわけやないんです。

漏れを見るだけの気密試験。
低い圧でやるやつですね。

あれは普通にエアーでやります。
違法でも異常でもない。

問題なのは強度を見る耐圧試験です。
高い圧をかけて配管がもつかを確かめる試験。

これをエアーでやるかどうか。
ここが分かれ道なんです。

この二つを混同したまま拭くのが面倒やからと言う。
それが一番危ないんです。

なんでそこまで言うのか。
順番に話していきます。

2. 水圧試験の「面倒さ」と、それでも選ばれる理由

まず水圧試験です。
正直に言います。

面倒くさいです。
最大のデメリットは後処理なんです。

試験が終わったら水を抜く。
でも抜いただけでは終わらん。

配管の中に水滴が残ってます。
それを完全に乾拭きして防錆処理をする。

これをサボったらどうなるか。
一瞬でサビます。

翌日にはもう内側が赤くなってる。
だから水圧試験は後始末に時間を食う。

若手が嫌がる気持ちもわかるんです。
でもそれでも水が選ばれる理由がある。

水はほとんど縮まんのです。
10MPa、100気圧かけても体積は0.5%くらいしか減らない。

つまり中にエネルギーが溜まらんのです。
数字で見るとはっきりします。

1立方メートルの容器を1MPaまで上げる。
その時に溜まるエネルギーは水なら約225ジュール。

ボウリングの球を1mの高さから落とすくらいです。
だから水圧試験で穴が開いた瞬間、圧はストンとゼロに落ちる。

水がピュッと出てそれで終わりなんです。

3. エアー耐圧の「恐怖」。爆弾という表現は比喩やない

じゃあ空気はどうか。
ここが一番大事な話です。

空気は縮みます。
さっきと同じ条件で計算するとどうなるか。

1立方メートル、1MPa。
空気の場合、溜まるエネルギーは約1.36メガジュール。

水の225ジュールに対して約6000倍です。
TNT火薬300g相当。

爆弾という表現は比喩やないんです。
エネルギー量として物理的に正しい。

そして本当に怖いのは破裂の仕方なんです。
水の場合、溶接欠陥に微細なクラックが入ったとします。

割れた瞬間に圧が抜ける。
だからクラックがそこで止まるんです。

ピンホールから水が出て終わり。
でも空気は違う。

クラックが走り始めても圧が落ちんのです。
膨張しながら押し続ける。

だからクラックが配管を延々と裂きながら走っていく。
破断が伝播するというやつです。

配管が数メートル単位でバナナみたいに割れる。
飛ぶのは金属片だけやない。

配管そのものが暴れるんです。
爆風を浴びるより裂けた配管に振り回される。

そっちの方が現実的な死に方なんです。

4. それでもエアーでやるしかない時がある

ここまで読んで水圧一択やと思ったかもしれません。
でも現場はそう単純やないんです。

水圧試験ができん場面が実際にあります。
勾配が取れんくて水が抜けきらん配管。

水の重量に架台や基礎が耐えられん場合。
内面ライニングや触媒。

極低温配管。
水が入った瞬間に製品そのものがダメになる。

そして冬場の凍結。
こういう時はエアー耐圧が正式に認められてます。

ただし条件がキツいんです。
ASME B31.3では試験圧力の倍率を下げる。

溶接部を事前に非破壊検査する。
そしてASME PCC-2で計算した立入禁止半径を設定して人を排除する。

エアーでやるなら人を全員遠ざけてからやれ。
これが規格の設計思想なんです。

つまりエアー耐圧はやったらあかんのやない。
やるならそれだけの手順を踏めということなんです。

拭くのが面倒やからで選べる話やないんです。

5. 「水なら安全」やない。エア抜きが命

もう一つ大事なことを言います。
水圧試験も無害やないんです。

配管内にエアが残ったまま水圧をかける。
そうしたらどうなるか。

その残ったエアが爆弾になるんです。
いくら水がほとんど縮まんでも中に空気の塊があれば話は別。

その部分にエネルギーが溜まります。
だからエア抜きが命なんです。

高い場所のベントを開けて空気を完全に追い出す。
これをサボったら水圧試験でも人が飛びます。

水なら安全。
これは間違いです。

水は完全に満たしてこそ安全。
これが正確な言い方なんです。

6. 外気温に狂わされる「温度変化の罠」

エアーにはもう一つ罠があります。
温度です。

よくある光景を話します。
夕方エアーを入れて圧をかける。

一晩置いて翌朝確認する。
すると圧力計の針が下がってるんです。

現場は一気にパニックです。
漏れか。

全員で泡を吹きかけて漏れ箇所を探し回る。
でもどこにも漏れがない。

夜の冷え込みで中の空気が収縮しただけなんです。
逆もあります。

昼間太陽が当たると膨張して圧が上がる。
漏れてもないのに朝から数時間の大捜索。

その時間と疲労は丸ごと無駄なんです。
水圧ならこんなことは起きません。

水は温度でそこまで体積が変わらんからです。

7. 圧をかける前に、フランジのクラスを確認しろ

もう一つ加圧前に必ずやることがあります。
図面とフランジの規格の確認です。

なんでか。
試験圧は常用圧の1.5倍かかるからです。

普段の運転圧でもってるフランジ。
それが試験圧でももつとは限らんのです。

常用でギリギリのクラスやったら試験で泣きます。
5Kと10Kを取り違えてたらもっと悲惨です。

その状態で圧をかける。
考えたくもない話ですよね。

試験圧に対してフランジのレーティングが足りてるか。
加圧する前に必ず確認してください。

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8. 結論:試験方法は「段取りの都合」で選ぶな

エアー耐圧の事故報告書を読むと動機はだいたい同じです。
水を入れると後始末が大変。

乾燥に時間がかかる。
工期が押してる。

技術的な判断やないんです。
段取りの都合で選ばれてる。

だから死ぬんです。
気密ならエアーでいい。

耐圧なら原則は水です。
どうしても水が使えん条件なら規格の手順を踏んでエアーでやる。

立入禁止区域を作って人を遠ざけてからやる。
そして水を使うならエア抜きを徹底する。

それぞれの特性と条件をわかった上で選ぶ。
面倒くさいからで決めたらあかんのです。

その判断ができて初めて本当のプロなんです。
本日もご安全に!



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この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

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