足場の事故と聞くと、漠然と怖いという感覚が先に立ちます。
でもその怖さは、正体がつかめないから大きく感じるのかもしれません。
危険を種類で分けて見ると、対策の形が見えてきます。
何から手をつければいいかも、そこからはっきりしてきます。
私は足場を組む職人やありません。
それでも監督として、足場の安全全体を見てきた側です。
その立場から、足場の危険を整理して対策の地図を描きます。
一つずつの詳しい中身は、各記事に譲りながら進めます。
初心者がまず覚えたい安全の基本はこちらでまとめています。

足場の危険は3つに分けて考える 結論から
先に結論を言い切ります。
足場の危険はいくつもありますが、この記事では初心者がまず押さえたいものを整理します。
ここでは、墜落・飛来落下・倒壊の3つに分けて考えます。
これは正式な分類やなく、初心者が全体をつかむためのこの記事の整理です。
この3つに加えて、組立て等に必要な教育や作業体制・天候に応じた中止判断や点検も関わります。
だから設備だけやなく、教育や判断まで合わせて整理していきます。
まずはこの全体像を押さえてください。
そこから一つずつ見ていきます。
墜落を防ぐ
人が落ちるのを防ぐのが、一つ目です。
足場の事故の中でも、墜落は特に重く受け止める必要があります。
高さ2m以上の作業場所では、作業床や、足場の種類に応じた手すり等の墜落防止設備が重要になります。
床がしっかりして、必要な墜落防止設備がそろうことで、人が落ちにくくなります。
昇り降りの場面も見落とせません。
安全な昇降設備を設けて正しく使うことも、墜落を防ぐ大事な部分です。
人が落ちるのを防ぐ手すりや作業床の役割はこちらです。

足場の組立てや解体では、作業床端の墜落防止が重要になります。
そこで、作業床に乗る前に手すりを先行して設ける手すり先行工法という考え方があります。
組立や解体のときの墜落を防ぐ手すり先行工法はこちらです。

作業条件によっては、要求性能墜落制止用器具の使用も必要になります。
手すり等の墜落防止設備と合わせて、決められた方法で使用します。
墜落制止用器具やフルハーネス特別教育についてはこちらで詳しく書いています。

落下物を防ぐ
二つ目が、物体の飛来・落下による危険を防ぐことです。
小さな工具でも、高所から落ちれば下では大きな危険になります。
幅木は、作業床の縁から物体が落下するのを防ぐために使われる設備の一つです。
足元の物が床の端から落ちるのを、この板がせき止めます。
さらに現場条件に応じて、防護棚である朝顔やメッシュシートなどが使われます。
朝顔は落下・飛来した物を受けるための防護棚・メッシュシートは足場外面からの飛来落下を防止するために使われる設備です。
物を落として下や外を傷つけないための設備はこちらです。

守るのは、作業員だけやありません。
足場の下を歩く通行人や、近隣の人まで守る対策になります。
倒壊を防ぐ
三つ目が、足場そのものが崩れないようにすることです。
足場が倒れれば、乗っている人も下や周りの人も巻き込みます。
足場の安定を支える重要な部材の一つが、壁つなぎです。
壁つなぎは足場と建物側をつなぎ、足場の外側への動きなどを抑えて安定を保つための部材です。
足場を建物に固定して倒壊を防ぐ壁つなぎはこちらです。

筋交いも、骨組みの変形を抑える大事な材です。
そして適切な組立てと、使用前や変更後など必要な点検も重要になります。
もう一つ大事なのが、勝手に触らないことです。
邪魔だからと自己判断で部材を外せば、墜落防止機能や足場の安定性を損なうおそれがあります。
足場を勝手に触ってはいけない理由はこちらで書いています。

教育・作業体制と天候判断も安全のうち
設備だけが安全やありません。
誰がどの教育を受け、どんな作業体制で行うか。そして天候や足場の状態を見て、いつ中止や再開を判断するか。こうした管理も安全には欠かせません。
足場の組立て・解体・変更に従事する労働者には、地上や堅固な床上での補助作業を除き、特別教育が必要です。
一定の足場では、作業主任者の選任も必要になります。
足場を組む作業に必要な特別教育についてはこちらです。

そして天候の判断です。
足場の組立て・解体・変更では、悪天候で危険が予想される場合は作業を止め、悪天候や中震以上の地震の後に再開するときは作業開始前に点検します。
悪天候のときに作業を止める基準と再開前の点検はこちらです。

対策は組み合わせで効く まとめ
最後に整理します。
足場の安全は、どれか一つの対策で決まるものやありません。
設備だけやなく、教育や作業体制・点検・天候判断などを重ねて、事故のリスクを減らしていきます。
墜落・飛来落下・倒壊など、それぞれの危険に応じた対策が必要です。
だからこそ、危険を種類で分けて地図を持つことが効きます。
自分の現場でどこが手薄かが、見えてくるからです。
その対策の一つ一つの先には、足場に乗る人がいます。
自分の一手が、あとから乗る誰かの安全につながっています。
足場を組んでいた先輩が、新人に短くこう言うのを何度か聞きました。
「倒すなよ」。
軽い一言に聞こえて、私には自分の作業の先に人がいることを忘れるなと聞こえました。
危険を分けて対策を積むのも、その先の人を守るためやと思っています。
本日もご安全に!

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