現場に入るとき、分厚い書類の束を渡される。
初めてのときは、これが何のための書類か分からず戸惑う人が多いと思います。
名前も似たような書類がいくつもあって、何が何だか分からへん。
でもこの書類には、一枚一枚にちゃんと役割があります。
私は足場を組む職人やありません。
それでも管理側として、安全書類を作り確認し、元請へ出す側も受け取る側も経験してきました。
その立場から、足場工事の安全書類の全体像を整理します。
一枚ずつの書き方やなく、何のための書類かという話です。
足場そのものの全体像から知りたい人はこちらを先に読んでください。

安全書類は現場と作業員を守る記録 結論から
先に結論を言い切ります。
現場で安全書類と呼ばれるものには、作業員や施工体制を確認する法定書類から、元請や現場のルールで提出・記録する安全関係書類まで、さまざまなものがあります。
現場では、これらをまとめてグリーンファイルと呼ぶこともあります。
ただしグリーンファイルは法令上の正式名称やなく、建設現場で使われてきた通称です。
書類をそろえること自体が目的やなく、現場の人員・施工体制・資格・教育などを把握して安全管理につなげるために使います。
面倒に見えても、その一枚一枚が人につながっています。
まずはこの位置づけを押さえてください。
そこから一つずつ見ていきます。
なぜ書類が必要?
理由は、現場を見えるようにするためです。
誰がいつ現場に入り、どんな体制で、どんな安全対策をしているか。
これが書類でそろっていないと、現場の実態がつかめません。
口約束や記憶やなく、記録として残すことに意味があります。
事故や緊急時にも役立ちます。
作業員や施工体制・連絡先などを確認する記録にもなるからです。
人や安全衛生に関わる書類
どんなものがある?
ここに挙げるものは、すべてが同じ法律や同じ提出義務に基づく書類やありません。
施工体制台帳の一部になるもの・安全衛生管理上の記録・元請の運用で提出を求められるものがあります。
代表的なのが作業員名簿です。
誰が現場に入るか、資格や社会保険などの情報を確認する書類です。
施工体制台帳を作成する工事では、作業員名簿もその一部として、法令上必要な記載事項を含めて作成します。
次に新規入場者教育があります。
新規入場者教育とは、現場へ新たに入る作業者に、現場の状況・危険箇所・作業内容・現場ルールなどを伝える安全教育です。
その実施状況を記録する運用があります。
現場によっては、安全衛生管理の計画やKY活動の記録なども管理します。
KYとは危険予知のことで、作業前に危険を出し合って備える取り組みです。
施工体制に関わる書類
どんなものがある?
もう一つが、施工体制に関わる書類です。
初心者向けに大きく見るなら、人や安全衛生に関するものと、施工体制に関するものに分けると整理しやすいです。
代表的なのが施工体制台帳です。
元請から下請まで、どの会社がどう関わっているかをまとめた書類です。
施工体系図もあります。
施工の分担関係を樹形図で表して、会社の並びをひと目で分かるようにしたものです。
再下請負通知書などもあります。
施工体制台帳を作成する工事で、下請業者がさらに下請契約を結んだ場合などに、元請へ施工体制を通知するために使われます。
これらには作成義務の条件があります。
民間工事では、発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請総額5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる場合に施工体制台帳等の作成義務があります。
公共工事では、下請契約を締結した場合、金額にかかわらず作成が必要です。
契約内容や工事区分で扱いが変わるので、最終的には国土交通省や発注者のルールを確認してください。
法定の届出とは別物
安全書類と届出はどう違う?
ここで混同しやすいのが、安全書類と届出の違いです。
現場で安全書類と呼ばれる書類の多くは、元請や現場内で確認・共有します。
ただし施工体制台帳や施工体系図などは、建設業法上の作成・提出・掲示のルールが関わります。
施工体系図は、現場の見やすい場所への掲示が求められるものです。
それとは別に、行政機関へ提出する届出があります。
設置届などは、労働基準監督署へ出す法定の届出です。
現場内で確認する書類と、行政機関へ提出する届出は、提出先や根拠となる制度が違います。
どちらも書類ですが、役割が別物やということです。
労働基準監督署へ出す足場の設置届についてはこちらで詳しく書いています。

現場で必要になる届出をまとめて知りたい人はこちらもどうぞ。

書類は作業員を守るためにある まとめ
最後に整理します。
安全書類は、種類が多くて面倒に見えるものです。
法令上必要なものも、元請や現場の運用で管理するものもありますが、どちらも現場の実態を把握するために使われます。
誰が入るかを示し、体制を明らかにし、安全対策を記録する。
書類の向こうには、その現場に入る人がいます。
私は書類を、事務仕事やなく作業員を守る記録やと考えて扱ってきました。
その中には、足場に乗って作業する人もいます。
書類でその人の資格や教育を確かめることも、安全につながっています。
先輩が新人に言う「倒すなよ」は、机の上の書類にも通じます。
一枚の書類の先に人がいると思えば、その一枚の重みが変わってきます。

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