足場に乗って作業していると、手すりや筋交いが邪魔に感じることがあります。
あと少し体を入れたいのに、そこに一本ある。
つい外したくなる、その気持ちは分かります。
私も足場に乗って作業する側だったので、邪魔に感じる場面があるのは知っています。
でも、そこで手を出したらあかんのです。
その一本には、ちゃんと理由があって付いています。
私は足場を組む職人やありません。
ただ足場に乗る立場も、管理する立場も経験してきた側です。
その両方を見てきたからこそ、一本外すことの怖さを伝えたいんです。
足場をどう扱うべきか、落ち着いて整理していきます。
足場そのものの全体像から知りたい人はこちらを先に読んでください。

足場は勝手に触ったらあかん 結論から
先に結論を言い切ります。
手すりや筋交いを勝手に外すと、墜落防止や足場の安定に必要な状態を崩し、事故につながるおそれがあります。
だから、邪魔でも自分で外したらあかんのです。
足場を変えたいときは、勝手に触らず責任者に相談します。
外すのは一瞬でも、その部材が担っていた安全機能は失われます。
しかも、あとから来る人には変更されたことが分からない場合があります。
まずはこの結論を押さえてください。
そこから、なぜそこまで言うのかを見ていきます。
邪魔に感じる気持ちは分かる でもなぜダメ?
邪魔に感じるのは、作業していれば自然なことです。
だからその気持ちを否定はしません。
でも、足場の一本一本にはちゃんと役割があります。
見た目は同じパイプでも、そこに付いている意味が違います。
そして怖いのはここです。
外した本人だけやなく、あとから乗る人まで危険にさらされます。
自分は外したことを覚えていても、次に来た人は知りません。
外れているとは思わずに、そこへ体を預けてしまうんです。
一本外すだけで何が起きるのか
手すりを外すと?
手すりは、乗っている人が外へ落ちるのを防ぐ部材です。
手すりなど必要な墜落防止設備を外せば、その場所の墜落防止機能が不足するおそれがあります。
自分は気をつけているつもりでも、油断は一瞬です。
そして次にそこへ来た人は、手すりがある前提で動きます。
必要な手すり等が外れた状態では、その場所の墜落リスクが高まります。
自分のためだけやなく、後から来る人のためにも外したらあかんのです。
手すりや幅木がなぜあるのか、部材そのものの役割はこちらでまとめています。

筋交いや壁つなぎを外すと?
筋交いや壁つなぎは、足場の変形や振れを抑える補強材です。
筋交いは変形を抑え、壁つなぎは足場を建物につないで倒れや振れを防ぎます。
これを勝手に外すと、計画された足場の安定性を損なうおそれがあります。
手すりは主に墜落防止、筋交いや壁つなぎは主に足場の安定に関わります。
役割は違いますが、どちらも安全のために付いていることは同じです。
だから、どちらも自分の判断で外していいものやありません。
もちろん、ここでどう外すかという話は一切しません。
外すこと自体を、作業する人がやってはいけないからです。
足場の変更は決められた人と手順で行い 変更後は点検する
なぜ素人が触ってはいけない?
足場を変えることを、変更と呼びます。
この変更は、思いつきでやっていい作業やありません。
足場の変更も、足場の組立て等の作業に含まれます。
変更作業に従事する労働者には、足場の組立て等特別教育が関係します。
また一定の足場では、足場の組立て等作業主任者を選任して作業を指揮させる必要があります。
作業主任者の選任がいるかは足場の種類や高さなどの条件で決まるので、そこは条件次第です。
足場の変更は、決められた作業者と手順で行い、変更後の点検まで含めて管理する作業です。
使用者が邪魔だからと、勝手に外していいものやありません。
なお作業上やむを得ず一時的に部材を変更する場合でも、決められた方法で行い、変更した部材は必要に応じて復元します。
外したままにしておくのが、一番危ない状態やからです。
足場を組んだり変更したりする作業に必要な特別教育についてはこちらです。

変更したあとに必要になる点検についてはこちらでまとめています。

触りたいときはどうする まとめ
最後に、ではどうすればいいかです。
答えはシンプルで、自分で外さないことです。
邪魔で作業が進まないなら、その場で我慢して抱え込む必要もありません。
まず職長や現場監督など現場の責任者へ相談し、必要に応じて足場業者と調整します。
触りたいときは、自分で外さず責任者に相談するのが正解です。
必要な変更がある場合は、安全措置を含めた正式な手順で対応してもらいます。
面倒に見えて、これが一番早くて安全な道です。
勝手に外して事故が起きれば、取り返しがつきません。
その一本の部材の向こうには、いつも人がいます。
自分の次にそこへ乗る、誰かの命がかかっています。
先輩が新人に言う「倒すなよ」は、組む人だけの言葉やありません。
足場に乗って働くすべての人に、同じ重さで通じる言葉です。

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