足場が一日で立ち上がっていくのを見て、どんな順番で組んでいるのか気になったことはないでしょうか。
朝は何もなかった建物のまわりに、夕方には足場がぐるりと回っている。
あの流れには、ちゃんとした順番があります。
その施工の流れを、監督として見てきた目線で俯瞰していきます。
私は足場を組む職人やありません。
それでも監督として、足場が組まれていく工程を何度も見てきた側です。
この記事は組み方のコツの話やありません。
各工程で監督が何を見るか、という目線で読んでください。
足場そのものの全体像から知りたい人はこちらを先に読んでください。

足場の施工はこの流れで進む 結論から
先に全体の流れを示します。
足場の施工は、搬入と墨出し→足元固め→建地の建て込み→段の積み上げ→壁つなぎと安全設備→最終確認と引き渡し、の流れで進みます。
下から上へ、大きい骨格から仕上げへと進んでいきます。
順番を追うと、なぜその作業が要るのかが見えてきます。
そして監督の役目はこの各工程にあります。
監督は各工程で、図面どおりか・安全が確保されているかを見ます。
まずはこの流れを頭に入れてください。
そこから一つずつ見ていきます。
着工の直前に現地で確認しておくことはこちらでまとめています。

搬入と墨出し
最初に何をする?
施工はまず部材の搬入から始まります。
組む前に、必要な部材を現場へ運び込んで仮置きします。
仮置きの場所も段取りのうちです。
通路をふさいだり作業の邪魔になったりしない場所に置きます。
次に墨出しをします。
墨出しとは、足場をどのラインに立てるかを地面などに印すことです。
この段階で私が見るのは、搬入経路と仮置き場と墨の位置です。
最初の印がずれると、その上に組む足場が丸ごとずれてしまうからです。
足元を固める
足元では何が要所?
墨が出たら足元を固めます。
足場は下から積むので、足元の据わりがすべての土台になります。
地面に敷板を敷いて、ベースで脚部を受けます。
敷板は荷重を地面へ分散させ、ベースは脚部の土台になる部材です。
支柱の足元どうしを根がらみでつなぐこともあります。
根がらみとは、足元近くで支柱をつないで動かないように固める部材です。
足元固めは施工の要所なので、地面の状態と足元の据わりをよく見ます。
ここが甘いと、上まで組んでから傾きや沈下が出るからです。
工程で使う敷板やベース類そのものの役割はこちらでまとめています。

建地の建て込みと段の積み上げ
どう立ち上げていく?
足元が決まったら、いよいよ縦に立ち上げます。
建地の建て込みとは、足場の縦の柱を立てていくことです。
立てた建地を布や腕木でつないで、面としてつなげていきます。
そのうえに作業床を載せながら、一段ずつ上へ積み上げていきます。
ここでは具体的な組み方のコツには踏み込みません。
大事なのは、監督として何を見るかです。
私が見るのは、建地の垂直の通りと、各段に作業床や手すりが付いているかです。
垂直がずれたまま上へ積むと、高くなるほど無理が出るからです。
なお足場の組立て・解体・変更の作業には、特別教育などの決まりがあります。
資格や作業の指揮は、作業主任者や有資格者と施工計画に沿って進められます。
足場を組む作業に必要な特別教育についてはこちらで詳しく書いています。

壁つなぎと安全設備の取り付け
何を取り付ける?
骨格が上がってきたら、建物への固定と安全設備です。
まず壁つなぎで足場を建物側につなぎます。
壁つなぎは、足場を建物に留めて倒れや振れを防ぐ部材です。
そのうえで、手すり・幅木・昇降階段・朝顔やメッシュシートなどの安全設備を付けます。
朝顔とは、足場の外側へ張り出して飛来や落下物による危険を防ぐ設備です。
これらは、乗る人と下を歩く人の両方を守るために欠かせません。
私が見るのは、壁つなぎが計画の位置に入っているかと、安全設備がそろっているかです。
壁つなぎの間隔は足場の種類や条件で変わるので、実際の配置は公式基準や施工計画で確認します。
最終確認と引き渡し まとめ
最後に何を確認する?
組み上がっても、そこで終わりやありません。
最後に全体を確認してから引き渡します。
図面どおりに組まれているかを見ます。
壁つなぎ・作業床・手すり・昇降などの安全設備がそろっているかを確かめます。
最終確認で図面どおりか・安全設備がそろっているかを見て、はじめて引き渡します。
ここを飛ばして使い始めると、抜けがあっても気づけないからです。
工程はどれも独立しているようで、下から順につながっています。
足元・骨格・固定・安全設備、どの一つを軽く見ても後で人の命に関わります。
その足場には、このあと多くの職人が乗って作業します。
組む工程の一つ一つが、あとから乗る人の安全につながっています。
先輩が新人に言う「倒すなよ」は、施工のどの工程にも通じます。
一段ずつ・一本ずつ確かめて積むことが、あとから乗る人を守るからです。

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