足場をよく見ると、骨組みの中に斜めに入った材があります。
縦と横だけやない、あの斜めの材は何のためにあるのか。
邪魔にも見えるあの一本には、ちゃんとした理屈があります。
それが分かると、足場の見え方が少し変わります。
私は足場を組む職人やありません。
それでも監督として、筋交いの有無を図面と現物で確認してきた側です。
溶接や組立や機械据付で、構造や力のかかり方に触れてきた感覚もあります。
その立場から、筋交いという斜め材を深く見ていきます。
足場そのものの全体像から知りたい人はこちらを先に読んでください。

筋交いとは変形を止める斜め材 結論から
先に結論を言い切ります。
筋交いは、足場に斜め方向へ入れて、骨組みの変形を抑える補強材です。
四角い枠が横方向へ変形するのを抑える働きがあります。
縦と横だけの骨組みに、斜めの支えを足すイメージです。
四角い骨組みは接合部の条件によって横方向へ変形しやすくなりますが、斜め材を入れると変形を抑えやすくなります。
この「斜めを足して変形を抑える」が、筋交いの中心です。
まずはこの理屈を押さえてください。
そこから一つずつ見ていきます。
筋交いを含む足場の骨組みの部材はこちらでまとめて解説しています。

筋交いはどこに入る?
筋交いは、足場の種類に応じて、建地間や建わく間などに斜め方向へ取り付けます。
斜材とも呼ばれ、斜材とは斜めに入れる材のことです。
縦と横の材がつくる骨組みに対して、斜め方向へ材を入れます。
斜め方向へ材を入れて、骨組みが横へ変形しにくい状態をつくるわけです。
この斜めの材が、横からの力に対する備えになります。
そこから、なぜ斜めやと変形を抑えられるのかという話につながります。
なぜ斜めの材が必要なのか
四角い枠は何が弱い?
まず四角い枠の弱点から見ます。
縦と横だけで組んだ四角は、じつは形が安定しにくいです。
横から押されると、四角は傾こうとします。
縦横だけの骨組みでは、横方向の力に対する変形を筋交いなどで抑える必要があります。
理由は、角の角度が動いてしまうからです。
四つの辺が丈夫でも、角度が変われば形そのものが崩れます。
だから四角い枠だけでは、横からの力に弱いんです。
辺は丈夫でも、形が動いてしまうということです。
斜めを入れると何が変わる?
そこで斜めの材を入れます。
斜め材が入ると、縦材と横材だけの骨組みより横方向の変形を抑えやすくなります。
斜めの支えがあると、角度が動きにくくなるからです。
斜め材が横方向の変形を抑えることで、足場の骨組みを補強します。
この斜めで補強する考え方は、鉄塔や橋の骨組みでも使われています。
筋交いは、その斜めの補強を足場に持ち込む部材やと考えてください。
なお鋼管足場では、労働安全衛生規則でも筋かいで補強することが定められています。
斜めの補強は、あってもなくてもいい飾りやないということです。
筋交いが無かったらどうなる
抜けると足場はどうなる?
では筋交いが無いと、どうなるか。
枠は四角のまま、横からの力に対する備えが足りなくなります。
必要な筋交いが不足すると、足場の変形や安定性に影響し、倒壊などの危険を高めるおそれがあります。
横の力を受けたときに、形を保つ支えが足りないからです。
足場は部材どうしがつながった構造です。
だから一部の補強不足が、全体の安定性に影響する場合があります。
受ける力の影響は、条件によっても変わります。
高さや風の受け方などで、かかる力は変わってくるからです。
もちろん、ここでどう省くかという話は一切しません。
筋交いは、変形を抑えるために付いているからです。
筋交いを勝手に外してはいけない理由はこちらで書いています。

設置の考え方と一本の重み まとめ
筋交いの配置は誰が決める?
筋交いは、足場の種類によって形や名前も変わります。
わく組足場では2本を交差させた交さ筋かいが使われ、くさび緊結式足場では専用の斜材が使われるものもあります。
なおわく組足場では、交さ筋かいが墜落防止設備の一部として扱われる場合もあります。
だから筋交いは、ただ構造を補強するだけの材とも限りません。
配置は、思いつきで決めるものやありません。
筋交いは、足場の種類や仕様に応じて決められた位置へ取り付けます。
設置の基準や取付けは、足場の仕様や施工計画・足場業者や関係する責任者の判断によります。
私は監督として、その筋交いが図面や施工計画どおりに入っているかを確認してきました。
最後に、斜め一本の重みです。
筋交いは地味で、邪魔にすら見える一本です。
でもその斜め材が、足場の骨組みの変形を抑えています。
足場の形を保つということは、そこに乗る人を支えるということです。
足場の安定を支えている部材の一つが、この筋交いです。
先輩が新人に言う「倒すなよ」は、この筋交い一本にも通じます。

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