足場の点検表は良好の印ばかり並んでいる。
でも実際に足場に登ってみると、気になる箇所が見つかることがあります。
点検表と現物のあいだにこの差が出るのは珍しくありません。
だからこそ点検を形だけにしないことが大事なんです。
私は足場を組む職人やありません。
それでも監督として、足場の点検や点検表を見てきた側です。
その立場から、点検のいつ・誰が・何を、を整理していきます。
近年の法改正で点検の決まりも強くなっているので、そこも押さえます。
足場そのものの全体像から知りたい人はこちらを先に読んでください。

足場の点検はこの時期に これを見る 結論から
先に結論を言い切ります。
足場の点検は大きく分けると、毎日の作業開始前に行う確認と、悪天候や地震・組立て等の後に行う詳しい点検があります。
この2つは目的も見る範囲も違います。
まずこの区分を頭に置くと、点検の話が整理して入ってきます。
そして詳しい点検には、誰が行うかの決まりもあります。
法定の点検では、事業者が点検者を指名して行わせます。
近年の改正で、この点検者の指名と氏名の記録が義務づけられました。
まずはこの全体像を押さえて、一つずつ見ていきます。
なぜ点検が必要?
理由ははっきりしています。
足場の不備は、そのまま墜落や転落につながるからです。
壁つなぎが外れていたり床材がずれていたりすれば、その一点が事故の入口になります。
足場は組んだあとも、天候や作業で状態が少しずつ変わります。
だから節目ごとに確認するのが点検です。
組んで終わりやなく、使い続けるあいだ見ていくものなんです。
点検はいつ行う?
点検が必要な時期は?
まず毎日の作業開始前の点検があります。
つり足場を除く足場では、その日の作業を始める前に、作業箇所の墜落防止設備の取り外しや脱落の有無を確認します。
これとは別に、詳しい点検が必要になる時期があります。
強風や大雨や大雪などの悪天候・中震以上の地震・足場の組立てや一部解体や変更の後は、使う前に広い項目を点検します。
毎日の確認と、節目の詳しい点検は分けて考えます。
同じ点検を毎回全項目やるわけやなく、時期によって見る範囲が違うんです。
誰が点検する?近年の改正
点検者は誰がなる?
詳しい点検は、誰が見てもいいものやありません。
事業者があらかじめ点検者を指名して行わせます。
2023年10月1日から、悪天候や地震・足場の組立て等の後に行う点検では、点検者を指名することが義務づけられました。
指名とは、誰が点検を行うかを前もって決めておくことです。
点検者をどう選ぶかも考え方が示されています。
厚生労働省の推進要綱では、十分な知識・経験を持つ者を選び、できるだけ組立て等の作業に直接関わった当事者以外の者とすることが示されています。
これは組んだ本人とは別の目で確認して、見落としを減らす考え方です。
なお足場を使用する事業者には安衛則567条に基づく点検義務があり、一定の注文者が請負人の労働者に足場を使用させる場合は注文者側にも別に点検義務があります。
足場を組む人に必要な特別教育についてはこちらで詳しく書いています。

記録の決まりは?
点検は見て終わりやありません。
悪天候や地震・組立てや一部解体や変更の後に行う点検では、点検結果を記録し、足場を使用する仕事が終わるまで保存します。
2023年10月1日から、記録が必要な点検について、点検者の氏名も記録することが義務づけられました。
誰が見たかを残すところまで含めて、点検の決まりになっています。
記録が残ることで、誰がいつ確認したのかを後から追えるようになります。
私は、誰が点検したかまで残ることで、形だけの点検を防ぐ意識にもつながると思っています。
点検で何を見る?
現場で確認するポイントは?
詳しい点検は、足場の種類に応じたチェックリストを使います。
チェックリストとは、見る項目をあらかじめ並べた確認表のことです。
悪天候や組立て等の後の点検では、床材・緊結部・脚部・壁つなぎ・墜落防止設備などを法令の点検項目に沿って確認します。
床材の損傷や取付状態・壁つなぎなど補強材の取付状態・手すり等の取り外しや脱落・幅木等の取付状態を見ます。
脚部の沈下や滑動・緊結部や接続部の緩み・緊結材や緊結金具の損傷や腐食も確認します。
どれも足場の安定や墜落防止に直結する箇所です。
異常を認めたときは、そのまま使用を続けません。
関係者へ共有して必要な補修を行い、安全が確認できない状態で使い続けないことが大事です。
点検で見る手すりや作業床や幅木そのものの役割はこちらでまとめています。

点検を形だけにしない まとめ
最後に整理します。
毎日の作業開始前には、作業箇所の墜落防止設備を確認します。
強風や大雨や大雪などの悪天候・中震以上の地震・組立てや一部解体や変更の後は、より広い項目を点検します。
この詳しい点検では、点検結果と点検者の氏名・補修した場合はその内容を記録して保存します。
冒頭の話に戻ります。
点検表が良好ばかりでも、実際に登ると指摘が出ることがあります。
だから点検表の印だけを信じず、責任を持って現物を見ることが大事なんです。
一枚の点検表の先には、その足場に乗る人がいます。
点検は、足場を安全に使い続けるための大事な確認です。
先輩が新人に言う「倒すなよ」は、この点検の一項目一項目にも通じます。

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