現場に入ってまず見上げるのが足場や。
下から見上げるとその大きさに少し圧倒される。
私は足場を組む職人やありません。
管理側として何度も足場を見上げてきた側です。
その現場で先輩が新人にこう言うのを何度か聞きました。
「倒すなよ」。
軽い一言に聞こえます。
でもこの三文字に足場のすべてが詰まっています。
足場をこれから勉強する人へ。
まずは足場とは何かから話します。
足場とは何か まず結論から
先に言い切ります。
足場は作業のために設ける仮設の設備です。
高い場所で作業するときに使います。
そしてそのあと多くの職人がその足場に乗ります。
自分ひとりが登って終わるものやないんです。
塗装屋も電気屋も設備屋もとびも同じ足場の上に乗ります。
見た目はただの鉄パイプの集まりです。
でも人の命を乗せる設備やと考えると話が変わります。
だから覚えることは一つやありません。
部材や組み方や点検や資格。
どれもちゃんと覚える必要があるんです。
そもそも足場は何のためにある?
高い場所で安全に作業するためです。
手が届かない壁や屋根に人が立てる床を確保するのが足場の役目です。
仮設とはいえ足場は工事の土台になります。
安全に立てる床があってはじめて高い場所の作業ができるんです。
足場は誰が使う?
組む足場職人だけやありません。
そのあとに乗るすべての職種が使います。
塗装屋も乗ります。
電気屋も設備屋も乗ります。
私のような管理側の人間も検査で足場へ上がります。
足場を組む人や点検する人が安全を確保します。
そのうえであとから多くの職種がその足場を使うんです。
この「あとから乗る」という感覚が入口です。
部材や役割を覚える意味もここから見えてきます。
足場にはどんな種類がある?
現場によって使う足場は変わります。
まずは代表的なものを押さえておけば十分です。
代表的な足場は?
私が現場でよく見てきたのはこの三つです。
枠組足場。
くさび式足場。
単管足場。
枠組足場は鋼管を門型に組んだ部材を積み上げるもので大きな現場で使われます。
くさび式足場は支柱の金具にくさびを打ち込んで組むタイプで、戸建てや中小規模の現場で見かけます。
単管足場は単管パイプとクランプを組み合わせるものです。
狭い場所や変則的な形にも合わせやすいのが持ち味です。
これはあくまで私が見てきた代表的な例です。
現場によってはほかの形式の足場も使われます。
どう使い分ける?
私が見てきた現場でも選ばれる足場は違いました。
現場の規模。
形や高さ。
周囲のスペース。
そういう条件で変わるんです。
「この現場なら必ずこの足場」と決まってるわけやありません。
実際は元請や足場屋の判断や現場の条件で決まっていきます。
足場の主な部材
足場はたくさんの部材が役割を分けて立っています。
名前を知らないと図面も指示も頭に入ってきません。
ただし足場の種類によって構成や呼び方は変わります。
ここでは私が現場で見てきた主な部材を入口として挙げます。
| 部材 | 付く場所 | 役割 |
|---|---|---|
| 建地 | 垂直方向の柱 | 足場全体を支える縦の支柱 |
| 布 | 建地と建地の間(長手) | 柱どうしを横につなぐ水平材 |
| 腕木 | 建地から横(短手) | 作業床を受ける水平材 |
| 踏板 | 腕木の上 | 人が乗って歩く作業床 |
| 手すり | 作業床の外側 | 墜落を防ぐ横材 |
| 筋交い | 足場面に斜め | ゆがみや変形を防ぐ補強 |
| 壁つなぎ | 足場と建物の間 | 足場が外へ倒れるのを防ぐ |
| 幅木 | 作業床の端 | 工具や資材の落下を防ぐ板 |
| ジャッキベース | 建地の一番下 | 高さ調整と荷重の受け |
筋かいや壁つなぎは足場の変形や倒壊を防ぐ大事な部材です。
ただし安全な足場は一つの部材だけで決まるものやありません。
構造。
緊結。
基礎や荷重。
そういったものも含めて決められた方法で組みます。
細かい施工条件までこの記事では踏み込みません。
まずは部材の名前と役割を知っておけば十分です。
手すりや幅木は乗る人と下の人の両方を守ります。
必要な部材や設備がちゃんと設けられているか。
そこを確認することが大切なんです。
足場工事の大まかな流れ
足場はいきなり組み始めるものやありません。
段取りと確認があってはじめて安全な足場になります。
組む前に何を確認する?
まず現場の広さや地面の状態を見ます。
どの足場をどう組むかは足場計画や施工条件に沿って決まります。
地面が柔らかいと足場が沈んで傾く心配があります。
足場の滑動や沈下を防ぐため地盤や脚部の状態も確認されます。
足場図面とは?
足場をどう組むかを先に描いた図面です。
どこに建地を立てどこに床を張りどこで建物とつなぐか。
それを図で共有します。
図面があるから現場の全員が同じ完成形を頭に描けます。
届出の対象になる足場では組立図や配置図の提出も必要になります。
足場に必要な教育と資格
ここは特に大事な話です。
足場は誰でも勝手には組めません。
「経験があるから大丈夫」で通る世界やない。
乗る人の命がかかるから制度として線が引かれています。
足場を組むのに必要な教育は?
足場の組立てや解体や変更の作業に就く人には足場の組立て等特別教育が必要です。
2015年7月1日から義務化されています。
ただし地上や堅固な床の上での補助作業は対象から外れます。
完成した足場の上で別の職種が作業するだけの場合とは分けて考えます。
対象は作業主任者の5mという基準とは別に考えます。
「5m未満やから特別教育も要らない」というものやありません。
足場を組む人に義務づけられた特別教育の中身はこちらで詳しく書いています

作業主任者とは?
作業主任者は足場の組立て等作業を直接指揮する立場です。
作業の方法や労働者の配置を決めて現場をまとめます。
選任が必要になるのはこういう足場です。
つり足場。
張出し足場。
高さ5m以上の構造の足場。
これらの組立てや解体や変更の作業で作業主任者を選びます。
技能講習を修了した人の中から選任するんです。
設置届と点検 管理側が見るところ
足場は組んで終わりやありません。
一定の条件に当てはまると届出が要ります。
組んだあとの点検も義務づけられています。
設置届が必要になるのはどんなとき?
規模の大きい足場は労働安全衛生法第88条にもとづく計画届が必要になることがあります。
現場では足場の設置届と呼ばれることが多い届出です。
対象になるかは足場の種類や規模や設置期間で決まります。
つり足場と張出し足場は高さ10mという条件とは別に対象になります。
それ以外の足場は高さ10m以上の構造のものが対象です。
ただし組立てから解体まで60日未満の足場は対象から外れます。
届出は工事開始の30日前までです。
所轄の労働基準監督署長へ様式第20号で出します。
対象になるか迷うときもあります。
そういうときは所轄の労働基準監督署へ確認するのが確実です。
設置届の条件と必要書類は現場監督の目線でこちらにまとめています

なぜ点検が必要なのか?
組んだ足場は時間や天候や作業で状態が変わるからです。
だから節目ごとに点検が求められます。
点検が要るのはこういうときです。
作業を始める前。
組立てや一部解体や変更の後。
一定の悪天候の後。
2023年10月1日から点検者の指名が義務づけられました。
記録と保存が必要な点検では点検者の氏名も残すことになりました。
2024年4月1日から幅1m以上の箇所は原則として本足場です。
ただし例外もあるので状況によっては別の対応も認められます。
現場監督は足場のどこを見る?
ここからは私が管理側として見てきた話です。
私はまず足場が倒れへんように見てきました。
筋かいや壁つなぎがちゃんと効いているか。
床にすき間やがたつきがないか。
手すりが外れていないか。
そういう地味なところが事故の入口になります。
昇り降りの動線や資材の置き方も気になります。
足場は「乗る人がどう動くか」で見るものやと感じています。
ここで挙げたのは法定の点検項目を全部並べたものやありません。
私が管理側として特に気にしてきたところです。
私は足場を自分で組む職人やありません。
それでも足場に危ないところがないかを意識して見てきました。
足場は「稼げる仕事」だけやない
私が見てきた現場では腕や段取りを評価される足場職人がいました。
一人親方や小規模な会社の足場屋さんと組むこともありました。
ただ足場を「稼げる仕事」だけで語るのはもったいない。
自分が組んだ足場にはあとから他人の命が乗ります。
もちろん安全を組んだ職人一人だけが背負うわけやありません。
組む人も点検する人も管理する側もみんなで支えるものです。
部材も組立ても点検も教育も資格も一本につながっています。
どれか一つ覚えただけでは足場の安全は成り立ちません。
冒頭の「倒すなよ」はそれを三文字に詰めた言葉やと思っています。
腕を上げるほどその重さが分かってくる世界です。
足場以外の現場資格もまとめて知りたい人はこちらもどうぞ

私が見てきた現場でも足場は多くの職種を支えていました。
その上と下に立つ全員のために基本から一つずつ覚えていってください。
本日もご安全に!

コメント