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ボルトの8.8や10.9は何を表す?強度区分を知らずに交換すると危ない理由|発注側も経験した現場目線で解説

「同じサイズやからこれで代用でええやろ」

昔の私はボルトを平気でそう考えていました。

頭に刻まれた8.8とか10.9という数字。
あれをただの型番か何かやと思って見向きもしていなかったんです。

でもあの数字はボルトの強さに関わる大事な記号や。
意味を知らずに付け替えると現場では危ない話になります。

その数字が何なのか。
交換のときに何を見たらええのか。
順番に整理していきます。

目次

結論 8.8や10.9はボルトの「強さ」を示す数字

先に答えを言います。
8.8や10.9はボルトの機械的性質を表す強度区分です。
同じ規格体系で比べると10.9は8.8より高い強度を持ちます。

前の数字が呼び引張強さを示します。
後ろの数字が呼び引張強さに対する呼び降伏応力または耐力の割合を示しています。

つまり同じサイズのボルトでも強度区分が違えば中身は別物なんです。
図面で強度区分が指定されているのを無視して付け替えるのは危ない行為や。

8.8と10.9を同じ規格体系の中で並べると違いが見えてきます。

強度区分呼び引張強さ呼び降伏応力の目安
8.8約800 N/mm²(8×100)約640 N/mm²(800×0.8)
10.9約1,000 N/mm²(10×100)約900 N/mm²(1,000×0.9)

表の数値はJIS B 1051で強度区分を読み解くために使われる呼び値の目安です。
実際に保証される最小値や試験条件はねじ径や規格の条件で変わるので設計や選定ではJIS、メーカー資料、設計図書を必ず確認してください。

8.8とは何を意味するのか

8.8は前の8が呼び引張強さを示します。
8に100を掛けた約800 N/mm²が呼び引張強さの目安なんです。

後ろの8は呼び引張強さに対する呼び降伏応力の割合を示す数字や。
800の80%にあたる約640 N/mm²が呼び降伏応力の目安になります。

呼び降伏応力というのはざっくり言うとボルトが元に戻らなくなる境目の力です。
厳密には降伏応力や0.2%耐力で評価される場合があるので目安として捉えてください。

とはいえここで出した数値はあくまで強度区分を読むための呼び値です。
実際に使えるかどうかはねじ径や条件で変わるので規格やメーカー資料での確認が前提になります。

10.9との違い

10.9は前の10が呼び引張強さを示します。
10に100を掛けた約1,000 N/mm²と8.8より一段高い区分なんです。

後ろの9は割合が上がっているという意味や。
1,000の90%にあたる約900 N/mm²が呼び降伏応力の目安になります。

同じ規格体系で見ると8.8と10.9はサイズが同じでも強さの違う別物です。
同じ体系の中では数字が大きいほど高い区分になるという読み方ができます。

とはいえ高い区分ほど何でもええわけやありません。
高強度のボルトは扱いや表面処理で気をつける点も増えてくるので指定を守ることが前提になります。

ステンレスボルトは強いとは限らない

ここで一つ誤解しやすい話をしておきます。
ステンレス(SUS)のボルトやから強いとは限らないんです。

ステンレスボルトは鋼のボルトとは別の体系で強度区分を表すので数字の見方も変わります。

鋼のボルトが8.8や10.9で表されるのに対してステンレスはA2-70やA4-80のように材質記号と強度の数字を組み合わせて表します。
このうち前のA2やA4が材質のグループでハイフンの後ろが引張強さの目安になる区分なんです。

例えばA2-70はSUS304相当の材料でおよそ引張強さ700 N/mm²クラスとされています。
数字だけ見ても分かるように呼びの引張強さは鋼の8.8のほうが上や。

だからステンレスやから鋼より強いとは一概に言えません。
SUSの持ち味は強さより錆びにくさで強さは区分次第なんです。

ここで混同しやすいのがSUS304やSUS316という呼び方との違いです。
SUS304やSUS316は主に材質の種類を示すもので強度区分を示すA2-70やA4-80とは別の情報なんです。

なおA2-70やA4-80といった表示例と意味はJISやメーカーの最新資料で確認してから使ってください。

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現場では強度区分を間違えると何が起きるのか

図面指定には理由がある

図面の強度区分は思いつきで決まっているわけやありません。
その場所にかかる力や使う環境を見越して選ばれています。

図面の強度区分は荷重、締結条件、使用環境などの設計条件をもとに指定されています。
だから在庫にあるからという理由で違う区分に置き換えるのは危ない。

指定より低い強度区分へ替えると必要な軸力の不足、塑性変形、ねじ部やボルトの破損といった問題につながる可能性があります。
どんな不具合が出るかは締結条件や荷重によって変わるので一律には決めつけられません。

強い区分に替えればええという単純な話でもないんです。
強いボルトへ替える場合も相手材、ナット、座金、締付け条件との組み合わせを確認する必要があります。

交換するときに注意すること

ボルトを交換したり発注したりするときは最初に強度区分と図面指定を確認します。
サイズが合っているだけで飛びつくと区分違いを見落とします。

頭部に強度区分の表示があるボルトなら刻印を確認する。
刻印だけで判断できない場合は図面、納品書、包装表示、メーカー資料を確認してください。

ボルトの種類、寸法、規格によっては表示の仕方そのものが違うこともあります。
刻印がある前提で決めつけずに書類やメーカー資料まで合わせて見るのが安全や。

保管箱や作業場所で強度区分の違うボルトが混在していることもあります。
見た目やサイズだけで判断せず刻印、図面、仕様書を確認してください。

判断に迷ったら自己判断で代替せずに図面指定やメーカー指定に従うのが基本です。
状態や履歴の分からないボルトを安易に使い回すのも避けてください。

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私が発注する側になって初めて知ったこと

正直に言うと現場で組んでいた頃の私は強度区分をあまり意識していませんでした。
意識が変わったのは材料を発注する側に立ってからや。

発注する側になって初めて同じサイズやろは通用しないと分かりました。

伝票に強度区分まで書かないと欲しいボルトが来ない。
サイズだけで頼むと区分がずれて現場が止まる。そういう場面で身に染みました。

ステンレスやから強いはずという思い込みも発注側で崩れました。
SUSは区分を見ないと強さが分からないと知って見る目が変わったんです。

それ以来ボルトは頭の数字まで見て扱うようになりました。
サイズは入口にすぎないと分かったからや。

まとめ

8.8や10.9はボルトの機械的性質を表す強度区分です。
前の数字が呼び引張強さで後ろの数字が呼び引張強さに対する呼び降伏応力または耐力の割合を表します。

同じ規格体系で比べれば10.9は8.8より高い区分。
そしてサイズが同じでも区分が違えば別物や。

ボルトはサイズだけやなくて頭の数字まで見て選ぶものです。
図面指定やメーカー指定を無視した付け替えは事故のもとになります。

刻印の数字はボルトが背負える力を書いた名札みたいなものや。
その名札を読めるようになると同じサイズの山の中から正しい一本を選べるようになります。

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この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

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