作業が一段落する。
グラインダーをそのまま机の上にポンと置く。
砥石はまだうなりを上げて回っています。
その置き方が足の指を吹き飛ばすんです。
今日はその話をさせてください。
1. 一番出番が多いからこそ一番怖い工具や
現場で一番出番が多い工具。
それがディスクグラインダーです。
でも身近すぎるせいで舐めてる人が多すぎる。
刃さえ替えれば何でも切れる魔法の道具やと。
これが一番危ないんです。
私は実技講習で指導もしてきました。
そこで嫌というほど見てきたのが危機感のない顔です。
たかが刃の交換やろ。
そう思っている人間ほど大怪我をする。
グラインダーは高速で砥石をぶん回してる工具です。

毎分1万回転で硬い砥石が回っている。
その刃が肉に触れれば一瞬で削ぎ落とす。
骨まで断つこともある。
便利な道具の顔をした刃物なんです。
そこを分かっていない人間が多すぎるから今日は書きます。
2. 舐めた勘違いと見落とされる回転数
まず一番多い勘違いから潰します。
電源を入れたまま刃を替えるアホな行動です。
コンセントを挿したまま。
バッテリーを差し込んだまま。
その状態で砥石を回そうとする。
もし何かの拍子にスイッチが入ったらどうなるか。
指が回転する砥石に触れて一瞬で持っていかれます。
さらに多いのがこれです。
スイッチがオンのままコンセントを挿す。
その瞬間グラインダーが暴れ出す。
手から吹っ飛んで床を跳ね回るんです。
刃を替えるときは必ず電源を抜く。

バッテリーは本体から外す。
これは基本中の基本なんです。
そしてもう一つ見落とされがちなのが回転数です。
砥石には最高使用回転数というものが必ず決められています。
75ミリ以上の砥石には最高使用周速度の表示が義務づけられているんです。
この数字には意味があります。
砥石が壊れずに耐えられる回転の限界を示しているんです。
ここでアホがやらかす。
その数字を見ずに手元にある砥石を適当に付ける。
もしグラインダーの回転数が砥石の限界を超えていたらどうなるか。
砥石が遠心力に耐えられません。
一瞬で砕け散るんです。
毎分1万回転で砕けた破片が顔や首に突き刺さる。
だから砥石を付ける前に必ず確認する。
この本体の回転数にこの砥石は使えるのか。
これを適合確認と言います。
具体的に言います。
最高使用周速度80の切断砥石で外径105ミリのものなら毎分およそ14000回転までのグラインダーにしか付けられません。
それを超える速さで回る本体に付ければ砥石は限界を超えて砕けるんです。
たったこれだけの確認を飛ばして命を落とすんです。
3. 私が見てきたリアルな地獄
ここからは私が実際に見てきた話をします。
どれも作り話やありません。
まずキックバックです。
砥石の角が材料に引っかかって弾かれる現象です。
回っている刃が食い込んだ瞬間に本体が逆方向へ跳ね上がる。
弾かれたグラインダーが太ももに跳ねてくる。
一瞬で肉が深く裂けて血が噴き出します。
だから刃を材料の角に無理に当てんことです。
そして必ず両手でしっかり保持する。
片手でひょいと使う人間がおるが弾かれたら制御できません。
跳ねた刃がそのまま自分の体を襲うんです。
次が冒頭の話です。
回転したまま机の上に置く。
その反動でグラインダーが机から転げ落ちる。
落ちながら回る刃が足を切り裂くんです。
安全靴の上からでも指をやられた人間を知っています。
爪を全部イカれた人間も見ました。
そしてもう一つ忘れたらあかんのが巻き込まれです。
ダブついた袖や手袋が回転する砥石に触れる。
その瞬間に生地ごと巻き込まれて手が引きずり込まれるんです。

回転体に巻き込まれる服装で作業してはいけません。
これが舐めた作業の代償なんです。
だから作業に入る前の確認が命綱になります。
砥石に亀裂が入っていないか。
欠けや膨らみがないか。
軽く叩いて濁った音がしないか。
そして異音のチェックです。
特に保護カバーに刃が当たっている音。
これを聞き逃す奴は本当に命を落とします。
砥石を替えたら無負荷で3分以上試運転する。
毎日の作業前にも1分以上回して異常がないか確かめる。
これは法律で決められた手順なんです。
試運転の間は体を砥石の正面から外しておく。
万一そこで砕けても破片が飛ぶ方向に立たないためです。
そして保護カバーは絶対に外したらあかん。
邪魔やからと外した瞬間に飛散を止めるものが無くなる。
カバーはあんたの顔を守る最後の盾なんです。
そして防護メガネも必ずかけてください。
削り粉や火花は容赦なく目に飛んできます。
一瞬で失明することもあるんです。
4. だからこそ特別教育が要るんや
刃の交換ごときになぜ資格がいるのか。
そう思う人もいるはずです。
答えは単純です。
基本と仕組みを知らんと確実に大怪我をするからです。
なぜ適合確認が要るのか。
なぜ試運転が要るのか。
なぜカバーを外したらあかんのか。
この理屈を体系立てて叩き込むのが自由研削といしの特別教育です。
ちなみにこの特別教育には自由研削と機械研削の2種類があります。
手に持って使うディスクグラインダーは自由研削のほうです。
学科4時間と実技2時間で構成されています。
受講料も一万円ほどです。
試験もなく難しいものやありません。
たったこれだけで自分の身を守る知識が手に入るんです。
正しい知識なしでグラインダーを触る。
それは凶器を目隠しで振り回すのと同じことなんです。
知識がない奴は現場で自分を壊す。
でも忙しい合間を縫って資格を取りに行くなら絶対に休日を潰さない「WEB講習」一択。

5. グラインダーは魔法の道具やない。凶器や
最後にこれだけは覚えて帰ってください。
グラインダーは便利な魔法の道具やありません。
一歩間違えれば自分の肉体を破壊する凶器です。
刃を替えるだけと舐めた瞬間に牙を剥く。
電源を抜く。
回転数を確かめる。
試運転をする。
カバーを外さない。
回ったまま机に置かない。
どれも当たり前のことばかりです。
でもその当たり前を飛ばした人間から順に血を流していくんです。
知識と恐怖心。
この二つを持っている人間だけが五体満足で家に帰れます。
よく切れる刃物ほど人は恐る恐る扱いますよね。
グラインダーは毎分1万回転で回り続ける刃物です。
慣れて恐怖を忘れた瞬間が一番危ない。
その恐怖を知識で裏打ちして手なずける。
それができて初めてグラインダーは道具になるんです。
本日もご安全に!

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