締めている先っぽがボキッとちぎれて飛ぶボルト。
現場でそんな光景を見たことがある人もいると思います。
普通のボルトなら締めても先が飛んだりはしません。
その一点だけでも高力ボルトは別物なんです。
高力ボルトとは「強い力で締めて摩擦でつなぐ 緩んだら困る場所のボルト」
先に答えを置きます。
高力ボルトとは強い力で締めてその締付けの力で部材を摩擦でつなぐボルトです。
普通のボルトはボルト自体が踏ん張って部材のズレを受け止めるイメージです。
高力ボルトは違います。
強く締め上げて接合面をぎゅっと押し付ける。
その押し付けで生まれる摩擦の力で部材どうしをつなぎ止めるんです。
この締めて生まれる摩擦でつなぐやり方を摩擦接合と呼びます。
だから同じ太さに見えても役割がまるで違います。
高力ボルトは普通ボルトの代わりに気軽に使うものやないんです。
高力ボルトは強く締めて摩擦で持たせる前提で選ばれています。
その前提を持たない普通ボルトを同じ場所に置いても同じ働きはしません。
逆に普通ボルトを高力ボルトの場所に使うのも論外です。
見た目が似ているだけで中身は別の道具なんです。
普通のボルトと何が決定的に違うのか
一番大事なのは見た目やありません。
役割です。
普通ボルトはボルトそのものの強さで力を受けます。
高力ボルトは締め付けて生まれる摩擦で力を受けます。
この受け方の違いが決定的なんです。
強度区分の数字やサイズやピッチの細かい話はここでは広げません。
ボルトに刻まれた数字が何を意味するのかはこの記事で詳しく書いています

なぜ吊り治具に普通ボルトを使わなかったのか
私が高力ボルトを実際に触ったのはある現場でした。
重量物を吊り上げるための治具を自作した時なんです。
整備士上がりの私は普通ボルトの感覚が体に染みついていました。
それでもこの治具に普通ボルトという選択はありませんでした。
理由は単純です。
重い物を吊る場所でボルトが抜けたら人も設備も終わるからです。
抜ける。緩む。
その言葉が笑えない場所があるんです。
吊り治具はまさにそこでした。
強さと緩みにくさをどこまで信用できるか。
そこで普通ボルトと高力ボルトの差がはっきり効いてくる場面でした。
治具の作り方や吊り方そのものはここでは触れません。
重量物の揚重や吊り具は資格と責任者と所轄への確認が前提の世界やからです。
締めたら先端がちぎれる 専用工具で締める高力ボルトの正体
高力ボルトには締め方にも普通ボルトと違う顔があります。
整備士上がりの私にはここが扱いも締め方も別物やと感じた部分でした。
私が使ったのはインパクトのような形の専用工具でした。
締め込んでいくとある瞬間にボルトの先がちぎれて飛んだんです。
実は高力ボルトにも種類があります。
頭が六角の高力六角ボルトと 頭が丸くて先端がちぎれるトルシア形高力ボルトです。
私が締めたのは先端がちぎれる後者のトルシア形やったと思います。
その先をちぎる専用工具がシャーレンチで ちぎれる先端がピンテールと呼ばれる部分です。
規定の力まで締まるとピンテールがちぎれて飛ぶ これが締め終わった合図なんです。
適当な力で止まったのではありません。
決められた力に達したからこそ先がちぎれる仕組みなんです。
ここでは先端がちぎれるボルトがあるという正体の紹介までにしておきます。
締めた後にちゃんと効いているかの確認は一本にまとめました。
締めた後に効いてるかどう確認するかはこの記事にまとめました

締め方にもいくつかやり方があって一つやありません。
そのあたりも別で整理しています。
高力ボルトの締め方が一つやない話はこちらです

ただし具体的な締付けの管理は別の話です。
正式な締付けの基準や手順は施工要領やメーカー基準と現場の責任者の確認に委ねてください。
高力ボルトはどこで使い 何を守っているのか
高力ボルトが選ばれるのは緩んだら困る大事な接合部です。
鉄骨の継手のように建物や構造物の力がかかる場所で使われます。
抜けたりずれたりが許されない場所なんです。
思い出してほしいのはつなぎ方の考え方です。
高力ボルトは強く締めて生まれた摩擦で部材をつなぎ止めます。
締める力そのものが仕事をしているという点が普通ボルトと決定的に違います。
だから締付けが甘ければ本来の力は出ません。
普通のボルトと高力ボルトを取り違える怖さはこちらでまとめています

まとめ ボルト一本にも役割がある
普通ボルトと高力ボルトは見た目こそ似ています。
でも力の受け方も締め方も役割もまるで別物なんです。
見た目が同じだからと役割を間違えたらあかんのです。
ボルトの世界にも移り変わりがあります。
今の高力ボルトに行き着くまでにも姿を消していったボルトがあるんです。
昔もっと強いボルトが消えた理由が気になる人はこちらへ

ボルト一本にもそれぞれ守っている仕事があります。
その一本が何のためにそこにいるのかを分かって選ぶ。
それが図面の裏にある本当の意味やと思います。
本日もご安全に!

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