現場で何十枚も撮った写真を、後で事務所のパソコンで見返す。
どれも似たような景色で、どこの何の作業なのか分からない。
写真は撮った瞬間は分かっていても、時間がたつと中身を語ってくれません。
そこで役に立つのが、工事写真に一緒に写し込む黒板です。
黒板はその写真に付ける名札です。
私は公共工事や補助金関連の工事も含めて工事写真を自分で撮ってきたので、その経験から黒板の書き方を書いていきます。
黒板には場所と日時と施工内容を書く 結論から
工事写真の黒板に何を書くかは、工事や発注者の基準によって変わります。
そのうえで私は、場所・日時・施工内容が分かるようにしていました。
黒板に書く内容は、その写真が何者かを名乗るための情報です。
工事写真の黒板とは何?
工事黒板とは、写真に一緒に写し込む情報の札のことです。
現場では黒板と呼ばれることが多いですが、実際には小黒板・ホワイトボード・電子小黒板などが使われます。
写真だけでは場所も作業内容も分からないことがあります。
黒板を一緒に写すことで、写真を見た人が中身を読み取れるようになります。
最低限何を書けばいい?
私が黒板に書いていたのは、場所・日時・施工内容の三つです。
写真を見ただけで場所・日時・施工内容が分かるようにしていました。
図面には表題欄という、図面名や日付などをまとめた欄があります。
表題欄が図面の身分証なら、黒板は写真の身分証のようなものです。
図面の身分証にあたる表題欄の見方はこちらで解説しています

3つの項目はなぜ必要?
場所はどう書く?
場所は、後から見た第三者がどこの写真か分かるように書きます。
自分にしか分からない呼び方では、名札の役目を果たしません。
図面の記号や番号など、現場で共通して使っている呼び方を使うのが一般的です。
建築図面では、通り芯(柱や壁の位置の基準になる線)に付けた記号や番号などで位置を示すことがあります。
日時はなぜ要る?
日時があると、工程の順番を写真で確認しやすくなります。
撮影時期が分からないと、工程の前後関係を確認しにくくなることがあります。
似た写真が並んでも、日時があれば前後関係を整理できます。
写真データにも撮影日時は残りますが、黒板に書いておけば写真を見ただけで読み取れます。
施工内容はどこまで書く?
施工内容は、何の作業のどの段階かが分かるように書きます。
「配管」だけより「配管埋め戻し前」のように段階まで書くと、写真の意味がはっきりします。
隠れる前・施工後など施工段階が分かるようにしておくと、後から施工状況を確認しやすくなります。
段階が書かれていないと、同じ場所の写真が並んだ時にどれが先か迷うことになります。
対象工事で黒板の様式や記載ルールが決まっている場合は、そちらを優先してください。
ここで挙げた書き方は、決まりの範囲で分かりやすくするための一つの例です。
3つ以外に書くことはある?
工事によっては、工事名・工種・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図など、必要な項目が決められています。
工種は土工やコンクリート工のように工事を種類で分けた呼び方で、測点は測量で位置を表すために決めた点のことです。
公共工事では、基準の中で黒板に書く事項の考え方が示されています。
国土交通省の土木工事で使われる写真管理基準(案)では、工事名・工種等・測点(位置)・設計寸法・実測寸法・略図のうち必要事項を記載した小黒板を、文字が判読できるよう被写体とともに写し込むとされています。
写真管理基準とは、工事写真の分類・撮影箇所・撮影頻度などを定めた基準です。
このほか、発注者独自の様式で別の情報を求められる場合もあります。
何を書くかは発注者や工事の決まりで変わるので、着工前に確認してください。
私の三つの項目も、その決まりの中で写真を分かりやすくするための工夫です。
後から探せるように書くという点は、図面の番号の付け方と同じ考え方です。
黒板の書き方をそろえておけば、写真の山から目的の一枚を拾いやすくなります。
あとで正解を見失わないための番号の付け方は図番の考え方が参考になります

黒板は何を使えばいい?
一人で撮るならどんな黒板がいい?
私が使っていたのは小型のホワイトボードです。
一人で撮ることがほとんどだったので、小さいものを選んでいました。
一人だと黒板を持ってくれる人がいません。
一人で撮るなら小型のホワイトボードが扱いやすい。
ただし黒板を持ったまま危険な場所へ入るのはやめてください。
片手がふさがった状態で高所や足場を移動するのも避けてください。
撮影は必要な安全措置が取られた場所で、安全が確保された位置から行います。
公共工事などで黒板の様式に決まりがある場合は、対象工事の写真管理ルールを優先します。
電子小黒板のアプリはどう?
電子小黒板とは、撮影と同時に黒板の情報を写真へ電子的に書き込む仕組みです。
スマホやタブレットのアプリで使うものが多く、黒板を持ち歩かなくて済みます。
私も電子小黒板のアプリを使っていましたが、面倒な面もありました。
便利さと手間の両方があるというのが正直な感想です。
国土交通省では、デジタル工事写真の小黒板情報電子化について通知・基準が定められています。
使う場合は対象工事の仕様や発注者の指示を確かめ、アプリがそれに対応しているかも確認してください。
電子小黒板のアプリなら何でも使えるわけではありません。
対象工事で求められる機能を満たしているかどうかが、選ぶ前の前提になります。
結局どちらを選べばいい?
どちらが正解ということはありません。
まず対象工事のルールに対応していることを確認し、その範囲で自分の撮り方に合うものを選びます。
優先するのは対象工事の基準、次に使える道具、最後に自分の使いやすさです。
一人で撮ることが多いかどうかは、その最後の段階で考えます。
黒板で失敗しないために気をつけることは?
字が読めない写真にしないには?
黒板は写真の中で読めなければ意味がありません。
黒板の字は読める状態で写すことが大事です。
字が小さすぎたり、光が反射して白く飛んだり、ピントが合っていなかったりすると読めなくなります。
撮ったらその場で画面を拡大して、字が読めるか確かめる習慣を付けておくと安心です。
黒板で肝心の施工箇所を隠していない?
黒板を大きく写そうとして、肝心の施工部分が隠れてしまうことがあります。
黒板が主役になって施工箇所を隠しては意味がありません。
主役はあくまで施工した部分です。
黒板は施工箇所の邪魔にならない位置に置き、両方が写っているかを確かめてください。
書き換えを忘れたらどうなる?
前の写真の内容のまま撮ると、写っている中身と黒板の情報が食い違います。
食い違った写真は、見た人を迷わせる原因になります。
撮る前に黒板を見る習慣を付けておくと、書き換え忘れを防ぎやすくなります。
場所・日時・施工内容の三つを、シャッターを切る前に目で追うだけでも違います。
そして黒板の日付や内容を後から書き換えた写真を作るなど、偽装は絶対にしないでください。
記録の信用を一度失えば、ほかの写真まで疑われてしまいます。
所定の電子小黒板で撮影と同時に情報を記録することと、撮影後に画像を加工して黒板を書き換えることはまったく別物です。
撮影後の書き換えは、どんな道具を使っても偽装になります。
黒板は写真の名札 まとめ
私が工事写真を撮るときは、場所・日時・施工内容が分かるようにしていました。
ただし黒板に必要な項目は、発注者や工事の基準によって変わります。
着工前に決まりを確認し、そのうえで写真の中身が伝わるように書いていきます。
道具は対象工事の決まりに合うものの中から、自分の撮り方に合うものを選びます。
一人で撮ることが多いなら、小型のホワイトボードは扱いやすい選択肢になります。
名札のない写真は、誰にも自分が何者かを名乗れません。
シャッターを切る前に、その写真にちゃんと名札が付いているかを確かめてください。
本日もご安全に!

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