コンベックスを当てて、たしかに寸法写真を撮ったはずだった。
後で見返すと数字は小さくつぶれて読めず、どこを測ったのかも分からない。
寸法写真は、撮っただけでは使えないことがあります。
私も工事写真を自分で撮ってきましたが、寸法写真で困ったことは私にもあります。
公共工事や補助金関連の工事の写真も撮ってきた立場から、工事写真で寸法を残すときの考え方を書いていきます。
道具の当て方より先に、読める写真の条件を押さえておくのが近道です。
寸法写真はどこを何ミリか読めて初めて使える 結論から
工事写真で寸法を残すなら、どこを測ったかと何ミリかの両方が写真から読める必要があります。
どちらか一方でも欠けると、見る人には寸法が伝わりません。
寸法写真とは何?
寸法写真は、施工したものの寸法が図面どおりかを示すための写真です。
公共工事では出来形管理写真と呼ばれる区分があり、寸法写真はこれに近い役割を持ちます。
出来形とは、施工が終わった部分の形状や寸法などのことです。
国土交通省の土木工事で使われる写真管理基準(案)では、工事写真の分類の一つとして出来形管理写真が挙げられています。
なぜ寸法を写真に残す?
完成した後では、測り直せない部分があるからです。
寸法写真は、図面どおりに施工したことを後から確認するための記録になります。
どこを測ったかと何ミリかの両方が読めること。
これが寸法写真のいちばんの条件です。
何を当てて撮る?
私は何を使っていた?
私は寸法を写真に残すとき、コンベックスを当てていました。
コンベックスとは、金属製の目盛り付きテープを巻き取って収める巻尺のことです。
伸ばせば長い寸法も測れて、巻き取れば手のひらに収まります。
現場で一番手に取りやすい測定道具の一つやと思います。
コンベックス以外には何がある?
一般には、ほかにもいくつかの道具が使われています。
測る長さや場面によって使い分けるのが普通です。
- スケール:差し金や直尺など、短い寸法を測る定規類
- リボンロッド:布などでできた帯状の目盛りで、離れた位置からも目盛りが見やすいもの
- ポール:赤白に塗り分けられた測量用の棒で、大きな範囲の目安に使うもの
どれを使うかは、測る物の大きさや発注者の決まりで変わります。
写真で読めるかどうかという視点で選ぶのが基本です。
読める寸法写真の条件は?
起点は写っている?
起点とは、測り始めの位置のことです。
コンベックスの0の位置がどこに当たっているかが写っていないと、測った長さが正しいかを写真で確認しにくくなります。
目盛りの先だけでなく、起点も写す。
起点と読み取る目盛りの両方が写って、はじめて寸法が一本の線としてつながります。
寸法をどこから取るかという基準の考え方はこちらで書いています

目盛りは読める?
目盛りを読ませたい部分には、しっかり寄って撮ります。
斜めから撮ると目盛りがずれて見えるので、できるだけ正面から撮るのが一般的です。
光の反射で数字が白く飛んでいないかも気をつけたいところです。
数字が読めない寸法写真は、撮っていないのとほとんど同じです。
どこを測ったか分かる?
目盛りに寄った写真だけでは、どこの寸法なのかが分かりません。
寄りの写真とは別に、測っている場所が分かる引きの写真もセットで撮っておきます。
私がずっと伝えてきたのが「引きと寄りを多めに撮っておいて。そうすれば後でどうにかなる」という言葉です。
写真が多ければ、後から必要なカットを選べて説明の材料も残ります。
黒板に測定箇所や数値を書くよう求められる工事もあります。
国土交通省の写真管理基準(案)では、小黒板に書く項目の候補として設計寸法や実測寸法などが挙げられていて、そのうち必要事項を記載するとされています。
設計値は図面で決められた寸法、実測値は実際に測った寸法のことです。
何を書くかは工事の決まりに従ってください。
図面の数値にどこまでの誤差が許されるかはこちらで解説しています

どこの寸法を撮る?
必ず撮る箇所はある?
私にも、寸法写真を必ず撮ると決めていた箇所がありました。
ただしどこを撮るかは、工事や発注者の決まりで変わります。
公共工事では、写真管理基準の撮影箇所一覧表に工種ごとの撮影項目や撮影頻度が示されています。
写真管理基準とは、工事写真の分類・撮影箇所・撮影頻度などを定めた基準です。
隠れてしまう部分の寸法は、後から測ることができません。
この基準でも、不可視となる出来形部分は出来形寸法が確認できるよう特に注意して撮影するとされています。
撮る箇所はどう決める?
私は撮る箇所を図面で指示することもありました。
現場で思いつきで撮るより、先に図面で撮る箇所を決めておく方が抜けにくくなります。
寸法写真を撮る箇所は、図面で先に決めておく。
現場に出る前に決めてあれば、測る順番や段取りも組みやすくなります。
寸法写真で失敗しないために気をつけることは?
読めない写真に気づいたらどうする?
見えているうちなら、その場で確認して撮り直せます。
隠れた後は撮り直せないので、撮った直後に画面を拡大して数字を確かめる習慣が大事です。
そして測っていない数字を書く・目盛りをずらして撮るなど、実際と違う寸法写真は絶対に作らないでください。
寸法写真は、事実どおりであって初めて意味を持ちます。
一人で撮るときはどうする?
私は一人で撮ることがほとんどで、小型のホワイトボードを使っていました。
コンベックスを当てて、黒板を置いて、カメラを構えるまでを一人でこなすのは楽ではありません。
手が足りないからといって、無理な体勢で撮るのはやめてください。
一人で難しい箇所は、手の空いている人に手伝ってもらうことも考えます。
測るときも安全が先
寸法を測るときに気をつけることは?
測るために高所や開口部、足場の外へ身を乗り出さないでください。
コンベックスの先を届かせたくなる場面ほど、体の位置に気をつける必要があります。
金属製のコンベックスを、稼働中の機械や電気設備に近づけるのも危険です。
撮影より安全が先です。
安全に測れない箇所は、無理をせず現場の責任者に相談します。
測り方や撮り方をどうするかは、そのうえで決めれば間に合います。
寸法写真は数字の証拠 まとめ
工事写真で寸法を残すときは、起点と目盛りの両方を写します。
引きの写真とセットにして、どこを測ったかも分かるようにしておきます。
撮る箇所は、現場で迷う前に図面で決めておくと抜けにくくなります。
何を撮るか・何を書くかは、発注者や工事の決まりを先に確かめてください。
寸法写真は、数字にその場の証人を付けておくようなものです。
起点と目盛りと場所がそろっていれば、写真が後からその数字を説明してくれます。
本日もご安全に!

コメント