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黒皮材は仕上がり寸法で頼むと足りない|曲がりと削り代を見込んだ発注の考え方

黒皮のSS400丸棒を旋盤加工に出すつもりで材料屋へ頼んだときの話です。
仕上がり寸法に近い寸法で注文しました。

そうしたら加工屋から「寸法が足りない もっと大きく取ってほしい」と言われました。
削ってみて理由が分かりました。

真ん中に一箇所だけ黒皮が削れず残っていたんです。
棒の端のほうはきれいに削れていました。

それやのに真ん中だけ刃が届かず黒いままでした。
材料が弓のように曲がっていたんです。

溶接も組立も機械の据え付けも一通りやってきました。
それでも発注して図面で指示する側に回ると加工の現実で足をすくわれます。

先に結論を言うておきます。
黒皮を全面加工して所定寸法へ仕上げる場合の話です。

仕上がり寸法のままでは削り代が足りないことがあります。
黒皮を落とす分に加えて曲がりを取る分が要るからです。

発注する寸法は仕上がりより大きく取らなあきません。
その削り代を何mm見るのか。

ここが今日の話です。

目次

黒皮を全面加工するなら仕上がり寸法では足りないことがある|黒皮と曲がりの分が要る

大事なところなのでもう一度書きます。
黒皮を全面加工して仕上げるなら、仕上がり寸法のままでは削り代が足りないことがあります。

理由は大きく二つです。
黒皮を削り落とす分と材料の曲がりを取る分です。

では何mm大きく取ればいいのか。
残念ながらここに一律の正解はありません。

効いてくるのは材質、径や板厚、形状、加工する面、必要な精度、熱処理の有無、加工設備、そして素材そのものの曲がりです。
これだけ絡めば一本の数字に決まらんのも当然やと思います。

何mm要るかは図面を見せて加工屋に確認するのがいちばん確実です。
この記事では数字は出しません。

代わりになぜ足りなくなるのか、どこを確認すればいいのかを順に整理します。
そこが分かれば発注は落ち着きます。

なぜ黒皮材は仕上がり寸法で足りないのか

黒皮(ミルスケール)を落とす分が要る

黒皮はミルスケールとも呼ばれます。
熱間圧延でできる黒っぽい酸化皮膜のことです。

黒皮を残さず外周まで加工する場合は表面を削り込む必要があります。
機械加工では基本的にこの黒皮を削り落とします。

落とすということはその分だけ材料が痩せるということです。
だから仕上がりピッタリでは黒皮を落とした時点で寸法が足りなくなります。

ただし黒皮の厚みは一定とは限りません。
何mm痩せるかを数字で断定はできません。

厚みや条件はメーカーや材料で変わります。
気になるなら材料屋や加工屋に確認してください。

圧延材は真っ直ぐに見えて曲がっている

ここからが私の失敗の本当の主因です。
黒皮を落とす分だけの話やなかったんです。

圧延材は真っ直ぐに見えても弓のように曲がっていることがあります。
熱間圧延の丸鋼には製造や保管などの影響で曲がりや偏径が出る場合があります。

呼び径どおりの真っ直ぐな真円とは限らないんです。
原因を一つに決めつけることはできません。

目で見ただけでは真っ直ぐに見えます。
それでも定盤に置くと端が浮いたりします。

旋盤はこの棒を掴んで回して削ります。
曲がりや振れがあると外周の一部に刃が届かず黒皮が残ることがあります。

だから端はきれいに削れても中央が黒いまま残る場合があります。
私の材料はまさにこの状態でした。

私のときは加工後の黒皮の残り方から曲がりが原因だと分かりました。
真ん中に一箇所だけ残ったのが弓形の何よりの証拠でした。

ただしこれは私の一件での話です。
残り方や原因は素材や加工で変わります。

図面どおりの寸法が現場でそのまま通らんのはよくある話や。
材料が曲がってた話で同じ壁にぶつかった人はこっちも読んでほしいです。

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だから黒皮の厚みだけ見ても足りん

ここで大事なことを分けておきます。
黒皮の厚みと材料の曲がりは別ものです。

黒皮の厚みだけを見込んでも曲がりが大きければ寸法は足りません。
私が足りんかったのは黒皮のせいだけやありません。

曲がりを取る分まで頭が回っていなかったからです。
真っ直ぐな素材だと思い込んでいました。

黒皮材の削り代は黒皮の分と曲がりの分の両方で考えます。
これを知っているだけで発注の失敗はぐっと減ります。

削り代・発注寸法が一律にできない要素

黒皮材の削り代を一律にできない理由を並べます。
効いてくる要素はいくつもあります。

  • 材質(削りやすさや粘りが違う)
  • 径や板厚(太さや厚みで曲がりの出方も違う)
  • 形状(丸棒 角材 板材)
  • 加工する面(片面 両面 外周)
  • 必要な精度
  • 熱処理の有無(寸法が動くことがある)
  • 加工設備や加工屋のやり方
  • 素材そのものの曲がりや反り

これだけの条件が絡みます。
だから「黒皮材は何mm大きく」と一律には言えないんです。

とくに素材の曲がりは素材ごとに状態が異なる場合があります。
数字で決め打ちできる相手やないんです。

私の失敗|そこから変えたこと

失敗の中身はさっき書いたとおりです。
黒皮のSS400丸棒を旋盤加工に出すつもりでした。

仕上がりに近い寸法で頼んで足りんと言われました。
削ったら真ん中だけ黒皮が残り、材料が弓形に曲がっていたと分かりました。

それまで材料が曲がっているなんて意識したこともありませんでした。
図面の寸法しか見ていなかったからです。

この一件からは削り分を多めに見て頼むようにしました。
足りんくて材料を取り直すよりそのほうが結局は早いんです。

どれくらい多めにするかは今も加工屋に確認します。
一律の数字を自分の頭の中に持っているわけやありません。

削り代をどれくらい見ておくかの基本はこっちにまとめました。
黒皮材はその応用です。

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どの面を加工するか|基準をどう伝えるか

必要な代は加工する面でも変わります。
片面だけ削るのか両面か外周をぐるっと回すのかで話が違います。

外周を回す丸棒なら曲がりの影響をまともに受けます。
片面だけ均す加工なら見込む代の考え方も変わります。

私は図面で加工面を指示する側でした。
だからこそ思うことがあります。

どの面をどこを基準に加工するのかを図面と最終用途できちんと伝えることが大事なんです。
口頭で「ええ感じに」と言うても加工屋は困ります。

基準と加工面が図面で分かればお互いに迷いません。
ここは材料屋や加工屋を責める話やなくて伝え方の話です。

黒皮材を頼む前に加工屋へ確認すること

多めに取るといっても当てずっぽうでは意味がありません。
いちばん確実なのは頼む前に加工屋へ聞くことです。

伝えたいのはこのあたりです。

  • 仕上がり寸法と必要な精度
  • 材質
  • 形状と径や板厚
  • 黒皮のままか否か
  • どの面を加工するか
  • 熱処理を入れるかどうか
  • どれくらい代を見ておけばいいか
  • 素材径の許容差と曲がりを含めて全面に刃が掛かる素材径か

口で「大きめに」と言うだけやとお互いの大きめがずれます。
図面と最終用途をセットで見せると話が早いです。

黒皮材はとくに曲がりの当たり外れがあります。
だからこそ現物を扱う加工屋の感覚が効いてきます。

確認するのは丸投げやありません。
材料の専門と加工の専門は見ている場所が違うだけです。

そもそも黒皮かミガキか|素材から迷うなら

ここまでは黒皮材を頼む前提で書いてきました。
ただそもそも黒皮でええのか迷う人もいると思います。

黒皮は熱間圧延など高温で加工された鋼材の表面にできる酸化皮膜です。
表面が整ったミガキ材を選べば削る量の考え方も変わってきます。

黒皮はそもそもHOT材の表面や。
素材がHOTかCOLDかから迷うならまずこっちを読んでほしいです。

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まとめ

黒皮を全面加工して仕上げるなら仕上がり寸法のままでは削り代が足りないことがあります。
黒皮を落とす分と材料の曲がりを取る分が要ります。

何mm大きく取るかは条件で変わります。
だから最後は図面を持って加工屋に確認してください。

圧延材は真っ直ぐに見えても弓のように曲がっていることがあります。
黒皮の厚みだけやなくその曲がりまで見込むのが黒皮材の発注です。

黒皮材の加工は曲がった板から真っ直ぐな部材を木取りするのに似ています。
反りのある板から真っ直ぐな一本を取るには元を一回り大きく用意します。

黒皮材も同じで曲がりと黒皮のぶん元を大きく取ります。
分からんまま仕上がり寸法で頼まないこと。これが手戻りを防ぐいちばんの近道です。

本日もご安全に!

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この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

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