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熱処理とは?焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしの違いを現場目線で解説

図面に焼入れや焼戻しと書いてある。
その意味が分からず手が止まった人は多いはずです。

私も熱処理は得意分野ではありません。
COLD材の部品を熱処理して歪ませてしまったこともあります。

そのとき思い知りました。
熱処理は硬さだけの話やないんです。

目次

そもそも熱処理とは何か|熱を入れれば強くなる ではない

先に答えを書きます。
熱処理は鋼材を加熱したり冷やしたりして硬さ、強さ、靭性、加工性などの性質を変える処理です。

ここで勘違いしやすいことがあります。
熱を入れれば強くなるという単純な話ではありません。

熱処理には硬くする処理もあれば軟らかくして加工しやすくする処理もあります。
同じ熱処理でも目的によって処理方法が違うんです。

私は冶金の専門家ではありません。
図面で指示を見て発注し検査書で確認してきた側の目線で整理します。

だからまず押さえたいのは狙いです。
何のためにその熱処理をするのかが分かれば図面の指示も読めるようになります。

HOT材とCOLD材で性質が違う話はこちらにまとめています

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焼入れとは

焼入れは鋼を硬化させる代表的な熱処理です。
加熱してから急に冷やすことで組織が変わり硬くなります。

ただし良いことばかりではありません。
焼入れは硬くなる一方で脆くなる面があります。

硬いだけで粘りがないと欠けたり割れたりしやすくなります。
だから焼入れ後に焼戻しを行い硬さと靭性を調整する工程が一般的です。

私は図面に強度アップのため焼入れと指示があるのを見て発注してきました。
発注側の私は焼入れを強度に関わる指示として受け取ってきたわけです。

ただし焼入れすれば何でも硬くなるわけではありません。
焼入れで得られる硬さは鋼種や炭素量などでも変わります。

焼入れにも種類があります。
たとえば表面を硬くする高周波焼入れや炭素を入れてから焼入れする浸炭焼入れです。

仕組みは同じではなくこの記事では名前を挙げるだけにします。
それぞれの詳しい話は別の機会に書きます。

焼戻しとは

焼戻しは焼入れの後に行う熱処理です。
焼入れで出た脆さを和らげて靭性を調整する処理です。

ここで大事なのは戻すという言葉のイメージです。
焼戻しをすれば元の状態に戻るわけではありません。

焼入れで硬く脆くなった鋼に粘りを持たせて使える状態に整える。
焼入れ後の硬さと靭性を用途に合わせて調整するのが焼戻しの役割です。

図面や発注では焼入れと焼戻しをそれぞれ確認しておくのが安全です。
硬さと粘りはこの二つの組み合わせで決まってくるからです。

焼なましとは

焼なましは焼入れとは違い軟化や組織調整などを目的に行う熱処理です。
焼なましは軟らかくして加工しやすくする処理です。

加熱してからゆっくり冷やすことで組織が整い硬さが下がります。
加工しやすくなるだけでなく加工のムラを抑える狙いもあります。

熱処理は硬くする処理だけやないというのがここで分かります。
焼なましには目的に応じた複数の種類があります。

応力を取るものや組織を整えるものなどがあり ここも深掘りは別の機会にします。
狙いによって呼び方も条件も変わってきます。

焼ならしとは

焼ならしは組織を均一に整えるための熱処理です。
加熱してから空気中で冷やして結晶を細かくそろえます。

名前が似ているので混同されやすいですが注意が要ります。
焼なましと焼ならしは同じではありません。

大きな違いは冷やし方です。
代表的には焼なましは炉冷で焼ならしは空冷で行われます。

狙いも違います。
焼なましは軟らかくするのが中心で焼ならしは組織を標準の状態に整えるのが中心です。

一文字違いで別物なので図面で見たときは読み間違えないようにします。
狙いが近いようで違うので発注のときは特に気をつけます。

4つの熱処理の違いを比較

ここまでの4種を一度表で並べます。
細かい温度や条件は載せず狙いの違いをつかむ用に使ってください。

処理主な狙い冷却の考え方現場で押さえるポイント
焼入れ硬さを上げる急冷する脆くなりやすく焼戻しとあわせて考える
焼戻し硬さと靭性を用途に合わせて調整焼入れ後に再加熱して冷却焼入れとは別工程として確認する
焼なまし軟らかくして加工しやすく代表的には炉冷目的別に複数の種類がある
焼ならし組織を均一に整える代表的には空冷焼なましと混同しない

これはあくまで傾向です。
実際の効果は材質や条件で変わるので最後は図面の指示に従います。

熱処理すると寸法や形が変わる場合がある

熱処理は組織を変える処理です。
だから熱処理で寸法や歪みが出る場合があります。

私がCOLD材で歪ませてしまったのもこれでした。
硬さを狙ったつもりが形が変わってしまったんです。

なぜ歪むのかは一つの原因では説明できません。
加熱と冷却による変形や組織の変化などいくつかの要因が重なります。

だから熱処理を頼むときは寸法が動く前提で考えておくほうが安全です。
どれくらい動くか どう抑えるかは品物ごとに変わります。

熱処理後の寸法変化と加工順や仕上げ代の話はこちらで詳しく書いています

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機械加工と熱処理の順番も重要

熱処理で寸法が動くなら加工との順番も効いてきます。
先に加工するか熱処理の後に加工するか仕上げ代を残すかで結果が変わります。

私も熱処理を頼むとき加工屋や熱処理業者から工程を言われたことがあります。
先に加工しておくとか仕上げ代を残しておくとか その時々でケースバイケースでした。

素人判断で順番を決めると狙った寸法や硬さが出ないことがあります。
だから工程は加工屋や熱処理業者と相談して決めるのが確実です。

機械加工で仕上げ代を残して大きく頼む話はこちらにまとめています

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図面の熱処理指示で確認すること|狙いどおり入っているかを確かめる

熱処理は指示して終わりではありません。
狙いどおりに入っているかを確かめて初めて仕事になります。

図面のどこに熱処理の指示があるか。
目的や硬さの指定がどうなっているかを押さえます。

私は硬くなりすぎたこともあれば焼きが足りず削ったら柔らかかったこともあります。
その原因をここで断定はしません。

材質や条件でも変わるからです。
だからたまに焼きの検査書を出してもらいます。

硬さの結果を紙で確認して図面の要求と合っているかを見るわけです。
費用はかかりますが狙いが入っているかを他人任せにしないための一手間です。

図面の指示に従い狙いどおり入ったかを確認します。
検査書があれば完璧という話ではなく指示と結果が合っているかを見るのが目的です。

分からなければ設計や監督や加工屋や熱処理業者に確認するのが一番です。
専門でない側ほど確認の一手間が効いてきます。

まとめ

熱処理は鋼の性質を変える処理です。
熱を入れれば強くなるという単純な話ではありません。

焼入れ、焼戻し、焼なまし、焼ならしは名前が似ていても狙いが違います。
硬くする処理もあれば加工しやすくする処理もあります。

そして熱処理では寸法や硬さが変わることがあります。
だからこそ図面の指示に従い狙いどおり入ったかを確認します。

熱処理は狙って入れて入ったかを確かめるまでが仕事です。
料理でいえば火加減を決めて中まで火が通ったかを見るのと同じやと思います。

専門でない私でもここまでは押さえて発注してきました。
図面の指示と業者への確認を組み合わせれば怖がる処理ではありません。

本日もご安全に!

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この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

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