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「倒れた仲間をすぐ助けに行くな」酸素欠乏・硫化水素の恐怖と現場の絶対ルール

目の前で仲間が崩れ落ちる。
考えるより先に足が出る。

その一歩があんたを二人目の死体にするんです。
今日はその話をさせてください。

目次

1. 見えない。無臭。だからこそ自分で管理せなあかん

酸欠の空気には色がありません。
匂いもありません。

普通の空気と何一つ変わらんのです。
だから怖い。

人間の空気は約2割が酸素で出来ています。
これが18%を切った瞬間から酸素欠乏です。

たった数%足りんだけで人は倒れる。
しかも一呼吸で意識が飛ぶことがあるんです。

そもそもなぜ密閉空間の酸素が消えるのか。
理由はいくつもあります。

鉄が錆びるだけでも酸素は食われます。
中の微生物が呼吸するだけでも減っていく。

配管から漏れた窒素やアルゴンに押しのけられることもある。
どれも目には一切見えません。

昨日まで平気やった穴が今日は死の穴に変わる。
そういう世界なんです。

ここで硫化水素の話もしておきます。
こいつには腐った卵みたいな匂いがある。

だから匂いで気づけると思ってる若いのがおる。
これが命取りなんです。

硫化水素は濃度が上がると鼻のほうが先に麻痺します。
100ppmを超えたあたりで匂いが分からんようになる。

つまり一番危ない濃度で匂いが消えるんです。
匂わんから安全やない。

匂いが消えたときこそ死の淵にいる。
これを体で理解せなあかんのです。

そしてこいつは空気より重い。
ピットやタンクの底にべったり溜まります。

発酵タンク。
バイオマスプラント。

汚水槽やマンホールの底。
見た目はただの空っぽの穴です。

でもその底に見えん殺し屋が寝てるんです。
覗いた顔から先にやられる。

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2. 倒れた人をすぐ助けに行くな

ここが今日一番伝えたいことです。
仲間が中で倒れた。

その瞬間あんたはどうしますか。
息を止めて助けに飛び込む。

これをやったら終わりなんです。
無酸素の空気は一呼吸で意識を奪います。

息を止めて入ったつもりでも体は勝手に吸うんです。
そして二人目が倒れる。

これが二次災害です。
数字を見てほしい。

酸欠事故は一度起きると被災者の約6割が亡くなっています。
そして倒れた人を助けに入った救助者がそのまま二人目三人目になる。

この二次災害が本当に多いんです。
善意で飛び込んだ人間から死んでいく。

こんな残酷な災害はそうありません。
だから一人で穴に入ること自体が間違いなんです。

必ず外に監視人を立てる。
体にロープや安全帯を回しておく。

中で倒れても外から引き上げられるようにしておく。
これは気合いの話やない。

酸欠則で決められた最低限の段取りです。
倒れた人間を救う唯一の正解は外から引っ張り上げることなんです。

自分が中に入ることやない。
もう一つ叩き込んでおきたいことがあります。

防塵マスクや防毒マスクは酸欠に一切効きません。
あれは空気中の粉やガスを濾すだけの道具です。

酸素そのものが無い空間では何の役にも立たん。
必要なのは空気を送り込む給気式の呼吸用保護具です。

送気マスクか空気呼吸器。
これを正しく着けた人間だけが助けに入れるんです。

計器も着けず保護具も無しで飛び込む。
それは救助やない。

自分から死にに行くのと同じなんです。

3. 空気を送り込めば安全という勘違い

じゃあファンで空気を送り込めばええやろ。
そう思った人ほど危ない。

現場によっては底にメタンガスが溜まっています。
汚泥や有機物が腐って出るガスです。

ここに何も考えず空気を送るとどうなるか。
実はこれが爆発を呼ぶことがあるんです。

メタンには爆発範囲というものがあります。
空気中で5%から15%。

この濃度に入ると火種一つで爆発します。
一番激しく爆発するのが9.5%あたりです。

ここが盲点なんです。
底に溜まったメタンが15%を超える高濃度になっている。

濃すぎるガスは実は燃えません。
酸素が足りんからです。

そこへファンで空気をぶち込む。
すると濃いガスが薄まっていく。

15%から5%へ。
その途中で必ず爆発範囲を通過するんです。

薄める行為が一番危ない濃度を作り出す。
そこに溶接の火花やグラインダーの一発が入れば終わりです。

だから換気は闇雲にやったらあかん。
その現場に何のガスが出るのか。

それを先に把握してから送風する。
ちなみに換気に純酸素を使うのも厳禁です。

火の勢いが跳ね上がって危険が増すからです。
測るときも一点だけ測って安心したらあかん。

ガスによって溜まる高さが違うんです。
硫化水素や炭酸ガスは空気より重い。

だから穴の底に溜まる。
逆にメタンは空気より軽い。

天井のほうに溜まるんです。
底だけ測っても上だけ測っても片手落ち。

底と中間と上。
この複数点を測って初めて中の本当の姿が分かるんです。

発生する成分を理解して手を打つ。
これができて初めてプロなんです。

4. 命を守るための特別教育

だからこそ絶対のルールがあります。
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育です。

計器の正しい使い方。
現場に潜む成分の知識。

換気と保護具の正しい手順。
これを体系立てて頭に入れる講習です。

受講できるのは18歳以上なら誰でも。
学歴も職歴も国籍も関係ありません。

拘束時間はおよそ5時間半。
受講料も一万円前後です。

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この程度の投資で自分と仲間の命が繋がる。
安いもんやと私は思います。

酸欠のみを学ぶ1種と硫化水素まで含む2種があります。
迷ったら硫化水素も入った2種を選んでください。

酸欠の穴には硫化水素も潜んでいることが多いからです。

見えない恐怖から命を守る知識は絶対に必要だ。
でも忙しい現場の合間を縫って取りに行くなら絶対に休日を潰さない「WEB講習」一択や。

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5. 知識武装して今日も家に帰れ

酸欠と硫化水素は一瞬の油断が死に直結します。
しかも本人には気づく暇すらない。

匂いもせず色もなく音もなく忍び寄る。
気づいたときには足腰の力が抜けている。

これに立ち向かう武器は根性やありません。
知識と計器です。

その空間に何が潜むのか。
酸素は足りているのか。

有毒なガスは出ていないのか。
爆発の危険はないのか。

これを数字で把握してから足を踏み入れる。
倒れた仲間がいても闇雲に飛び込まない。

まず送気マスクをつかむ。
まず計器で中を測る。

その一手間があんたの命と仲間の命を両方救うんです。
ピットの中は地雷原と同じや。

どこに何が埋まっているか分からん。
探知機も持たずに踏み込む兵隊はおらんでしょう。

計器はあんたの探知機です。
知識はその地図です。

地図と探知機を持った人間だけが無事に帰ってこられる。
今日も測ってから入る。

それだけで家族の待つ家に帰れるんです。

本日もご安全に!

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この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

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