エスジーピーで拾っといて。
そこはスケジュール80な。
現場でこんな言葉が飛び交って頭が真っ白になったことありませんか。
今日はその整理をさせてください。
1. 導入:現場で飛び交う呪文にパニックになる若手
SGP。
Sch。
VP。
OST。
現場ではこういう言葉が当たり前のように飛び交います。
若手は必死でメモを取る。
でも意味がわからんまま書いても頭に入りません。
配管はただの筒やないんです。
中を流れるもので規格が全く変わります。
水か。
油か。
薬品か。
そして圧力が何MPaかかるのか。
温度は何度か。
その組み合わせで使う管が決まってるんです。
これを知らずに発注したらどうなるか。
材料が届いて現場に並べてそこで気づく。
これ違うやんと。
そこから返品して再発注して納期を待つ。
その間現場は止まります。
後ろの職人も全員待ちです。
数分の確認をサボっただけで数日が飛ぶんです。
2. 現場を救う「配管規格の早見表」
まず全体像を頭に入れてください。
これをスクショして現場で開けるようにしといたらええです。
| 規格 | 正式名称 | 主に流すもの | 厚みの表し方 | 現場での注意 |
|---|---|---|---|---|
| SGP | 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452) | 冷温水・エアー・低圧の油やガス | 厚み固定(Schなし) | 白管は亜鉛メッキ。黒管はメッキなし。低圧専用 |
| STPG | 圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3454) | 圧力のかかる水・蒸気・油 | Sch10〜Sch80 | 外径は同じで内径だけ変わる |
| STS | 高圧配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3455) | STPGの範囲を超える高圧 | Sch40〜Sch160 | 350℃以下の高圧ライン用 |
| SUS-TP | 配管用ステンレス鋼管(JIS G 3459) | 薬品・純水・食品・低温・消火 | Sch5S/10S/20SとSch40〜160 | Sが付くのは20Sまで。40以上にSはない |
| VP | 硬質ポリ塩化ビニル管・厚肉(JIS K 6741) | 薬液圧送・圧力のかかる流体 | 厚肉 | 給水はJIS K 6742の水道用VPを使う |
| VU | 硬質ポリ塩化ビニル管・薄肉(JIS K 6741) | 排水・通気 | 薄肉 | 圧力ラインに使ったらあかん |
| OST | 油圧配管用精密炭素鋼鋼管(JFPS1006) | 作動油 | 外径×肉厚で指定 | JISやない。フルードパワー工業会の規格 |
表を見てまず気づいてほしいことがあります。
厚みの表し方が規格ごとにバラバラなんです。
SGPは厚みが最初から一本で決まってる。
STPGはSchで指定する。
塩ビはVPかVUかで決まる。
油圧は外径と肉厚を直に指定する。
つまり同じ「50A」でも規格が違えば全くの別物なんです。
呼び径だけ伝えて発注するのがどれだけ危ないか。
これでわかりますよね。
3. 鉄とステンの罠「SGPとSch」
まずSGPです。
これは一般配管用。
比較的低圧の冷温水やエアーに使います。
白管は亜鉛メッキがしてあるやつ。
黒管はメッキなしです。
そしてSGPにはSchという概念がありません。
厚みが規格で一本に決まってるんです。
50AのSGPなら3.8mm。
それだけです。
ここで面白いことがあります。
50AのSch40は3.9mm。
SGPの3.8mmとほとんど変わらんのです。
じゃあ同じやんと思いますよね。
違います。
規格そのものが別なんです。
SGPは低圧用として作られてる。
STPGは圧力配管用として作られてる。
材質も保証されてる試験も違う。
数字が近いから使えるやろという話やないんです。
そしてステンレスです。
ここが一番マニアックで一番間違えます。
ステンレス配管のJIS G 3459を見てください。
Sch5S。
Sch10S。
Sch20S。
このあたりにはSが付いてます。
でもSch40。
Sch80。
こっちにはSが付きません。
なんでか。
規格の注記にはっきり書いてあります。
5S・10S・20SはASME B36.19から引用したもの。
Sch40から160はASME B36.10から引用したもの。
出どころが違うから区別するためにSを付けてるんです。
だからJISの図面にSch40Sという表記は出てきません。
存在せんのです。
じゃあなんでわざわざ薄いS系列を作ったか。
オーステナイト系のステンレスは炭素鋼より引張強さがかなり大きいんです。
だから炭素鋼と同じSch番号の厚みにすると余裕がありすぎる。
強すぎて不経済なんです。
そこで少し薄い番号を作った。
それがS系列なんです。
ここから本当の罠が見えてきます。
Sch10とSch10Sは同じ厚みやないんです。
10という数字が同じやから同じやろ。
そう思って発注したら全く違う厚みの管が届く。
そしてもう一つ。
ASME B36.19MにはSch40SもSch80Sも存在します。
海外の図面やASME準拠の図面には普通に出てくるんです。
JISの図面には出てこん表記がASMEの図面には出てくる。
ここで現場が混乱するんです。
図面がJISなのかASMEなのか。
それを確認せんまま数字だけ拾ったらあかんのです。
見た目が同じでもSch40とSch80を間違えると耐圧試験で泣きます。
肉厚の恐ろしさはこっちに書きました。
」を舐めるな。Sch40とSch80を間違えて耐圧試験で破裂する絶望-169x300.jpg)
4. 塩ビの罠「VPとVUを間違えるな」
次は塩ビです。
現場に転がってるあのグレーの筒。
どれも同じに見えますよね。
でも中身が全く違います。
VPとVU。
たった一文字の違いです。
VPは厚肉。
圧力がかかる流体を通すやつです。
VUは薄肉。
排水と通気の専用です。
どれくらい違うか数字で見てください。
呼び径50で比べます。
VP50は外径60mm。
肉厚4.1mm。
VU50も外径60mm。
肉厚1.8mm。
外径は同じ60mmなんです。
なのに肉厚は倍以上違う。
パッと見て区別なんかつきません。
そしてやらかす人がおるんです。
VUの方が安い。
在庫もある。
同じ50やしこれでええやろ。
そう言って給水ラインにVUを使う。
結果どうなるか。
圧に負けて漏れます。
天井裏で漏れたら最悪です。
下の階が水浸しになる。
内装のやり直しまで発生して賠償の話になる。
数百円ケチって数百万が飛ぶんです。
もう一つ知っといてほしいことがあります。
水道の給水に使うのはJIS K 6741のVPやないんです。
JIS K 6742の水道用VPです。
規格が別なんです。
水道用には水という字に似たマークが入ってます。
そして耐衝撃性のHIVPは色が違う。
VPとVUは灰色。
HIVPは藍色に近い暗い灰青色です。
色とマークで見分ける。
それも現場の技なんです。
5. 油圧の恐怖「普通の配管で油を流すな」
最後は油圧です。
ここは別格やと思ってください。
油圧ラインにかかる圧力は桁が違います。
10MPa。
21MPa。
そういう世界です。
SGPの世界が1MPa前後やと考えてください。
比べものになりません。
そして油圧が本当に怖いのは脈動があることです。
ポンプが動くたびに圧力が波打つ。
瞬間的なサージ圧は常用圧を大きく超えることがあります。
つまり21MPaのラインなら瞬間はもっと上がるんです。
だから油圧には専用の管を使います。
OST。
正式には油圧配管用精密炭素鋼鋼管です。
これはJISやありません。
日本フルードパワー工業会のJFPS1006という規格です。
OST-1とOST-2があります。
OST-1は圧力配管用のSTPG370・410相当。
OST-2は高圧配管用のSTS370・410相当です。
OST-2には銅が入ってて降伏点が少し高い。
ではなんでSGPで油圧をやったらあかんのか。
理由は三つあります。
一つ目が圧力です。
これはもう説明しました。
SGPは低圧用。
21MPaなんて想定の外です。
二つ目が精度です。
油圧配管はフレア形や喰込み形の継手を使います。
管の外径に継手が食い込んで止めるんです。
つまり外径の精度が命なんです。
OSTは冷間引抜で作った精密管です。
だから寸法がきっちり出てる。
SGPみたいな一般管ではその精度が出ません。
継手が正しく食い込まん。
漏れます。
三つ目が清浄度です。
これが一番見落とされます。
油圧の敵はコンタミです。
中に入った異物がバルブやポンプを一発で壊します。
数十万のバルブが砂粒一個で死ぬんです。
OSTは引抜の後雰囲気焼鈍炉で熱処理されてます。
だから管の内外が清浄に保たれてる。
でもSGPの内面にはスケールもサビもある。
それを油圧に繋いだらどうなるか。
剥がれた異物がシステム全体を回ります。
そして高価な機器を片っ端から壊していく。
圧力に耐えたとしても機械が死ぬんです。
6. 結論:配管の規格は「命のルール」だ
ここまで読んで頭がパンパンかもしれません。
でも全部を丸暗記する必要はないんです。
早見表はスクショしといたらええ。
数字は調べたらええ。
大事なのは疑える人間になることです。
この管に何が流れるのか。
何MPaかかるのか。
何度になるのか。
そしてこの管で本当に耐えられるのか。
その問いを持てる人が事故を止めます。
配管の規格は誰かが思いつきで作ったもんやないんです。
先人たちが事故を起こして人が死んで。
そのたびに二度と起こさんために決めてきたルールなんです。
一つ一つの数字の裏に誰かの失敗がある。
だからたかが50Aと言うたらあかんのです。
材料が届いたら断面を見る。
図面を見たら規格を確認する。
その数秒があなたと現場を守ります。
本日もご安全に!


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