図面にSCM435と書いてある。
クロモリと呼ばれるらしいが435や440と種類もあってよく分かりません。
正直に言うと私自身SCMはまだ自分の担当図面には出てきていません。
S45Cは扱ってきましたがSCMは話に聞く程度で発注も横で見てきた立場です。
だからこの記事は体験談ではなく調べて整理したものです。
同じように図面で初めて見た人と一緒に公式で確認できたことを押さえていきます。
SCM材とは何の材料か|クロムモリブデン鋼
先に答えを書きます。
SCM材はクロムとモリブデンを含む機械構造用合金鋼です。
クロモリと呼ばれるこの材料はJISではG4053の機械構造用合金鋼鋼材に分類されます。
鉄と炭素が中心のS45Cと違いクロムやモリブデンといった合金元素が加えられています。
そして熱処理をして強さや靭性を出して使われることが多い材料です。
S45Cより強いというより内部まで焼きが入りやすい性質などで選ばれるという性格があります。
このあと記号の意味や435と440の違いを整理します。
どれも私の体験ではなく公式資料で確認した内容として書きます。
SCMの記号は何を表しているのか
SCMという記号にも意味があります。
SはSteelの鋼でCはクロムでMはモリブデンにあたるとされます。
後ろの数字には鋼種の区分と炭素量の水準が反映されています。
SCM435のJIS上の炭素量は0.33〜0.38%です。
クロムやモリブデンは飾りで入っているわけではありません。
どちらも焼入性や強度や靭性といった特性に関わる合金元素です。
なお焼入性というのは材料の内部まで焼きが入りやすい性質のことです。
記号や成分の細部はJISやメーカー資料で確認しておくと安心です。
SCM435とSCM440の違い
SCM435とSCM440はよく並べて出てきます。
ただSCM440が上でSCM435が下という関係ではなく選定理由の違いです。
| 項目 | SCM435 | SCM440 |
|---|---|---|
| 炭素量の水準 | 0.33〜0.38% | SCM435より高い |
| 主な考え方 | 標準的に選ばれやすい | より高い強度を狙うとき |
| 選定 | 上下ではなく設計が用途で判断する | |
一番の違いは炭素量の水準です。
SCM440はSCM435より炭素量が高いので熱処理後の硬さや強度の狙いも変わってきます。
だからどちらが優れているという話ではありません。
必要な強度や部品の使い方に合わせて設計が選ぶものです。
SCM材とS45Cの違い
SCMとS45Cはどちらも機械部品に使われますが分類が違います。
S45Cより強いというよりSCMは選ばれる理由が違います。
S45Cは炭素鋼でSCMはクロムやモリブデンを加えた合金鋼です。
SCMはCrやMoを加えることでS45Cとは焼入性などの特性が異なります。
だから高い強度や焼入性が必要な機械部品でSCMが選ばれることがあります。
逆に言えばそこまで要らない部品ではS45Cで十分なこともあります。
つまりSCMがS45Cの上位互換というわけではありません。
必要な性能で使い分ける材料だと押さえておくのが正解です。
SCM材と熱処理の関係(詳細は別記事へ)
SCMは熱処理とセットで使われることが多い材料です。
焼入れや焼戻しによって必要な強度や靭性を調整して使われることがあります。
ここで大事なのは材質だけで最終の性能が決まらないことです。
同じSCMでも熱処理の条件で硬さや機械的性質は変わってきます。
そして熱処理をすると寸法や形が変わる場合があります。
だから加工の順番や寸法変化まで見て段取りする必要があります。
熱処理後の寸法変化と加工順の話はこちらで詳しく書いています

SCM材が機械部品に使われる理由
SCMは焼入性や強度が求められる機械部品で使われます。
高い強度が要る軸や締結部品などで選ばれることがあります。
ボルトでSCM435などの名前を目にすることもあります。
ただしここで短絡してはいけない点があります。
材質と完成品の強度区分は別の情報です。
「SCM435なら必ず10.9」のように材質から強度区分を決めつけることはできません。
ボルトの強度区分は完成品としての性能で決まります。
材質はその一要素で強度区分そのものではないんです。
材質と完成品の強度区分は別という話はボルトの記事でも書いています

SCM材を溶接するときの注意
SCMの溶接はできるかできないかで単純に語れません。
溶接の可否は単純な○×では決まらないからです。
材質や板厚や炭素当量や熱処理の状態や溶接方法で注意点が変わります。
合金鋼は溶接で配慮がいる場合があるとされています。
私はSCMを自分で溶接した経験がないので体感では語れません。
だからこそここは断定せず確認の話にとどめます。
溶接するときは材質や状態に合わせてメーカーや技術資料を確認します。
溶接管理の指示に従って進めるのが確実です。
SCM材を材料屋へ注文するときに確認すること
SCMを頼むときは材質名だけでは足りません。
SCM435・SCM440か、形状・寸法・熱処理の有無・指定・素材の状態・後工程・数量まで伝えて確認します。
特に機械加工が入るなら仕上がり寸法ぴったりで頼めばよいとは限りません。
削る分を見込んで少し大きめで頼む考え方も要るからです。
これを最初に押さえておくと材料屋も合うものを出しやすくなります。
専門性のある材料ほど最初の情報共有が効いてきます。
機械加工で仕上げ代を残して大きく頼む話はこちらにまとめています

SCM435とSCM440を勝手に変更しない
最後に大事なことを一つ。
SCMの種類やS45Cとの入れ替えを勝手に決めず図面の指定に従います。
435と440を勝手に入れ替えたりS45Cへ落としたりしません。
材質は設計が性能を狙って選んでいるからです。
私はSCMについては発注を横で見てきた立場です。
疑問があれば投げますが材料を最終的に決めるのは設計です。
だから迷ったときや変えたいときは自分で判断しません。
設計や監督や材料屋に確認してから動くのが安全です。
まとめ
SCM材はクロムとモリブデンを含む機械構造用の合金鋼です。
S45Cより強いというより焼入性などの特性で選ばれる材料です。
SCM435と440も上下ではなく必要な性能での使い分けです。
熱処理をして使われることが多く材質と完成品の強度区分は別の情報です。
勝手に入れ替えず図面の指定とメーカー資料を確認する。
これがSCMと付き合うときの基本になります。
正直に言えば私もまだ図面ではSCMに出会っていません。
だからこそ知ったかぶりはせず一緒に基本を押さえておきたいと思います。
材料屋へ何を伝えて発注するかの全体像はこちらにまとめています

分からない材料が出たら調べて確認してから動く。
それだけで発注の事故はぐっと減るはずです。
本日もご安全に!

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