杭打ちが始まった朝。
現場事務所の電話が鳴る。
うるさいという近隣からの苦情です。
あの音を聞くたびに胃がキュッとなりませんか。
私は何度もその電話を受けてきました。
でも一本の届出でこの胃の痛みは軽くなるんです。
今日はその特定建設作業の届出の話をします。
1. 特定建設作業の届出は労基署やない。市町村へ出す
結論。出す相手は市町村長。労基署でも警察でもない
先に一番意外なところを言います。
この届出の出す相手が特殊なんです。
特定建設作業の届出は市町村長へ出すものです。
労基署でも警察でもありません。
足場や型枠支保工の届出は労基署でした。
道路の許可は警察と道路管理者でした。
でもこれは工事をする場所の市町村に出す。
役所の窓口がまるで違うんです。
ここを知らずに労基署へ持っていく人がいます。
それでは受け取ってもらえません。
私も昔は全部労基署やと思い込んでいました。
騒音の話やのに労基署に電話して恥をかいた。
出す相手を最初に確かめる癖が要るんです。
届出は出す先を間違えた時点で止まります。
中身より先にまず宛先を確かめるんです。
道路を使うときの許可も出す相手が警察と道路管理者で分かれる。こっちにまとめた。

騒音規制法と振動規制法が根拠。ここだけ毛色が違う届出や
なぜ市町村なのか。
根拠になる法律が違うからです。
根拠は騒音規制法と振動規制法です。
安衛法でも道路法でもありません。
騒音と振動は地域の生活環境の話です。
だから地元の市町村が受け持つんです。
安全の届出とは毛色がまるで違います。
守るのは作業員やなく近隣の暮らしなんです。
そこが分かると出す相手も腑に落ちます。
安全は国が労基署を通して見ます。
でも暮らしの静けさは地元が一番よく知っている。
だから市町村が受け皿になっているんです。
2. 何が対象か。くい打機やさく岩機など著しい騒音振動の作業
くい打機・さく岩機・空気圧縮機など代表的な対象作業
では何が対象になるのか。
政令で決められた著しい騒音振動の作業です。
代表的なのがこのあたりです。
くい打機やくい抜機を使う作業。
さく岩機や空気圧縮機を使う作業。
びょう打機を使う作業なども入ります。
どれも現場でよく響くやつばかりですね。
ズドンズドンと腹に来るあの音です。
一度でも近くで聞いたら忘れられません。
壁越しでも体に響いてくるんです。
近隣が敏感に反応するのも当然の作業なんです。
だから法律で名指しされているわけです。
逆に言えば静かな作業は対象になりません。
音と振動の大きさで線が引かれているんです。
ただし機械や作業ごとに要件と除外がある。全部が対象やないから確認せよ
ここで大事な注意があります。
同じ機械でも全部が対象とは限りません。
細かい除外がいくつもあるんです。
たとえばくい打機でももんけんは除かれます。
圧入式のくい打くい抜機も別扱いです。
アースオーガーと併用する作業も除かれます。
空気圧縮機も原動機の出力で線引きがある。
低騒音型として指定された機械も外れることがある。
だから機械の名前だけで判断したらあかん。
自分の機械と作業が対象かを一つずつ確かめる。
そこは施行令の別表と自治体の基準で確認するんです。
ここを甘く見て全部出す人もいます。
でも要らん届出は手間が増えるだけです。
逆に必要なのに出さんと後で詰みます。
3. 指定地域と提出期限。ここを外すと意味がない
全国どこでもやない。市町村が指定した地域内での作業が対象や
もう一つ外せない条件があります。
それが指定地域です。
対象になるのは市町村が指定した地域内だけです。
全国どこでも一律というわけやありません。
住宅が集まる地域や学校の近く。
そういう静けさを守りたい区域が指定されます。
だから同じ作業でも場所で扱いが変わる。
工業地帯と住宅地では話が違うんです。
だからまず現場がその指定地域に入るか。
そこを市町村に確認するのが出発点なんです。
指定地域の外なら法の届出はいらんこともある。
でも条例で別に規制している自治体もあります。
だから地域外やから何もいらんとは限らない。
そこも含めて市町村に一度聞くのが確実です。
作業開始前に届け出る。日数と細部は所轄の市町村で確認せよ
次に期限です。
この届出は作業を始めてからでは遅い。
作業開始日の7日前までに届け出るのが法令の定めです。
しかもこの7日に届出日と作業開始日は含みません。
だから実際はもっと前に動く必要があります。
ギリギリで出すと作業開始を遅らせる羽目になる。
ただし窓口の部署や様式や上乗せの条例。
このあたりは自治体で細かく違います。
だから数字や様式を鵜呑みにしたらあかん。
必ず所轄の市町村に一度確認するんです。
私はいつも工程を組む段階で電話します。
着工直前に慌てるのが一番あかんからです。
4. 届出は近隣を敵に回さないための段取りや
杭打ちの音は必ず苦情になる。届出と近隣説明はセットや
ここが私の一番言いたいところです。
杭打ちの音は必ず苦情になります。
どれだけ手を尽くしても完全には消せません。
だからこそ届出と近隣説明はセットなんです。
届出は行政への手続きです。
でもそれだけでは近隣の心は収まりません。
事前に近隣を回って一声かけておく。
いつからいつまでこういう音が出ますと。
先に伝えておくだけで苦情は驚くほど減るんです。
黙って始めるのが一番敵を作ります。
音が出る前に顔を見せておく。
それだけで相手の受け取り方がまるで変わるんです。
怠ると改善勧告や近隣トラブルに直結する。誰がいつ出すか最初に決めとけ
そして届出を怠るとどうなるか。
行政から改善勧告や命令が来ることがあります。
近隣トラブルにも直結します。
一度こじれた近隣関係はなかなか戻りません。
工事が終わるまで矢面に立たされ続けるんです。
一本の届出と一度の挨拶で防げた話も多い。
手間を惜しんで大きな火種を作るのは損です。
私はその胃の痛い日々を何度も見てきました。
そもそも誰が元請で誰が届出を出す立場なのかが曖昧な人はこっちを先に読んでほしい。

だから最初に決めておくことです。
誰がいつどの市町村へ出すのか。
そして近隣説明を誰がいつ回るのか。
その段取りを工程の頭で握っておくんです。
届出も近隣説明も後回しにしたら必ず火を噴く。
先に手を打った現場だけが静かに進むんです。
たった一枚と一声の手間を惜しんだらあかん。
それが工事全体の空気を左右するんです。
特定建設作業の届出は近隣への挨拶状やと思うんです。
黙って音を出せば相手は身構えます。
でも先に一枚筋を通しておけば角が立たない。
うるさい工事も納得の上なら我慢してもらえます。
不意打ちの音ほど人を怒らせるものはありません。
先の一声が全部の潤滑油になるんです。
届出と一声。
これが近隣を味方に変える一番の近道なんです。
本日もご安全に!

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