6000の定尺やからといって6000の製品がそのまま作れるとは限りません。
発注側に回った人が最初に面食らうのがここです。
私も昔これで頭をひねりました。
加工の都合で定尺6000とは別に7000くらいの長さで材料を取ったことがあるんです。
図面の数字と実際に頼む数字は同じとは限りません。
材料を手配する立場になって初めてそれを痛感しました。
図面の寸法と現場で必要な寸法がズレる話はこちらでも書いています

定尺一覧を覚えるだけでは材料は頼めない|完成寸法と材料長さは別物
先に答えを書きます。
完成寸法と材料長さは別物です。
この記事で扱う鉄板とアングルとチャンネルの代表的な定尺を先に出しておきます。
ただしこれは覚えるための表やなく確認の入口として見てください。
| 品種 | 代表的な定尺の例 | 備考 |
|---|---|---|
| 鉄板(板物) | サブロク914×1829mm/シハチ1219×2438mm | 面のサイズで呼ぶ定尺板 |
| アングル(等辺山形鋼) | 5.5m・6m | 断面やメーカーで4m〜12mの幅もある |
| チャンネル(溝形鋼) | 6m | 大きい断面は8m以上の定尺もある |
これはあくまで代表的な定尺の例です。
定尺はメーカーやサイズや流通在庫で変わることがあるので全国どこでも同じ数字とは限りません。
問題は定尺の数字そのものではありません。
完成寸法だけを見て材料長さを決めると足りないことがあります。
理由は加工や曲げの都合で完成寸法より長い材料が要ることがあるからです。
だから定尺を基準にしつつ後工程と歩留まりまで見て材料屋へ確認して頼むのが正解です。
覚えるべきは数字やありません。
「定尺は確認して使うもの」という姿勢のほうです。
そもそも定尺とは何か
定尺というのは鋼材屋やメーカーにある標準の長さのことです。
市場に流通している決まった寸法と考えると分かりやすいです。
ここで一つ誤解しないでほしいことがあります。
定尺はJISで全国一律に一本の長さが決められているという意味ではありません。
実際に受注できる寸法はメーカーや品種によって違います。
日本鉄鋼連盟が普通鋼鋼材受注寸法表として、会員や協力メーカーの受注可能寸法を品種ごとに公開しているので、正確なところはそこやメーカーや材料屋で確認できます。
だから「定尺で」と言うだけで通じると思い込まないほうが安全です。
現物の在庫を材料屋に聞くほうが結局は早いです。
鉄板の定尺(板物)
鉄板は長さだけでなく面のサイズで定尺を呼ぶのが板物の特徴です。
サブロクやシハチなど面のサイズで呼ぶ言い方があります。
板は定尺のまま買う場合と切板で買う場合があります。
完成寸法どおりに取るとは限らず後工程しだいで取り方が変わります。
機械加工で完成寸法より大きく頼む削り代も考え方は同じです

アングルの定尺
アングルについては私の現場の話をひとつ。
昔いた現場ではアングルは6000という認識で回していました。
ただしこれは私の現場での感覚であって「必ず6000」ではありません。
断面のサイズやメーカーで変わるので実際の在庫長さは材料屋へ確認します。
「アングルは6000」と丸暗記して頼むと外すことがあります。
表に出したとおり断面やメーカーで扱う定尺は幅があるので現物で押さえるのが確実です。
チャンネルの定尺
チャンネルもアングルと同じで一本の数字で決めつけないほうがいいです。
サイズやメーカーや流通在庫で扱える定尺が変わるので確認が要ります。
同じ鋼材でも形が変われば売られ方も変わります。
材質や用途で定尺は変わるから確認が要るという一点だけ覚えておけば十分です。
定尺より長い材料が必要になることもある
「定尺以上は買えない」と思い込んでいる人がいます。
でもそれは思い込みです。
鋼材屋の通常在庫より長い材料でも手配できる場合があります。
メーカー受注や別寸法になることもあり何でも自由な長さで買えるわけではありません。
私も別の板物では2000×5700くらいのものを手配できたことがあります。
トラックで運べる長さの範囲で通常の在庫より長いものを指定できました。
ここで分けて考えたいのが鋼材屋の在庫品とメーカー受注品です。
在庫の標準長さで足りなければメーカー受注や別寸法になり、製造可能寸法やロットや運搬の条件で変わります。
だから定尺を超える長さが要るときこそメーカーや材料屋に可否を確認してください。
長い材料は運ぶのも吊るのも危険がついて回るので長さの可否も含めて相談するのが安全です。
曲げでは端切りや掴みしろまで考える
曲げが絡むと完成寸法だけでは寸法が決まらないことがあります。
私が板物をロール曲げで頼んだときがまさにそうでした。
私が依頼した加工では端を切り落とす前提で寸法を相談しました。
端をどう処理するかで必要な寸法が動いたからです。
このとき寸法はぴったりでは決まりませんでした。
2000ではなく1970くらいという話が出て最終的に相談で決めた記憶があります。
なぜその寸法になったのかまでは私には断定できません。
ただ端の処理を前提に相談して決めたという事実だけは確かです。
曲げのために完成寸法より長い材料が要る掴みしろという考え方もあります。
これは加工方法や現場で意味も必要量も変わるので別の機会に譲ります。
定尺から何個取れるかは歩留まりまで考える
定尺から何個取れるかを数えて発注量を決める人は多いです。
でも取り数だけで決めると後で困ることがあります。
もったいない取り方があるのは分かります。
ただ端材を切るのにも工数や加工賃がかかるので単純に「詰めて取れば得」とは限りません。
歩留まりは取り数だけで決めないほうがいいです。
次の仕事で使うか使わないかまで含めて総合で考えるのが実務です。
たとえばL50のアングルや100サイズのチャンネルはよく使うので多めに取っても損しにくいです。
逆に使用頻度の低い磨き材はほとんど出ないので切りで買うようにしていました。
この材料取りの判断は値段だけ見ても出てきません。
自分の現場で何がよく回るかを知っているかどうかで変わります。
材料屋へ注文する前に確認すること
材料屋へ頼む前に完成寸法だけでなく押さえておきたいことがあります。
大きく四つです。
- 後工程で曲げや機械加工があるか
- 必要な長さはいくつになるか
- 定尺のまま買うか切断で買うか
- 長尺や運搬はいけるか
発注前に後工程と必要な長さを材料屋へ確認します。
ここを先にやるだけで「足りない」「運べない」があとから出にくくなります。
材料屋へ何を伝えて発注するかの全体像はこちらにまとめています

まとめ
定尺は覚えるものではなく確認して使うものです。
一覧を丸暗記しても完成寸法と材料長さが別である以上そのままでは頼めません。
曲げや歩留まりまで見て材料の長さを決める。
これができると発注の失敗はぐっと減ります。
定尺は地図でいう縮尺のようなものです。
基準は同じでも実際の道のりは現場ごとに測り直さんと歩けません。
定尺は覚えて頼むものやなく確認して使うものです。
これだけ持って帰ってもらえれば十分です。
本日もご安全に!

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