ちょっとだけ水を出したいから半開にしとくわ。
そう言ってハンドルを回してませんか。
その一回で新品のバルブがゴミになることがあります。
今日はその話をさせてください。
1. 導入:バルブはどれもハンドルを回すだけやない
配管の途中には必ずバルブがついてます。
ハンドルを回す。
レバーを倒す。
どれも同じに見えますよね。
でも大間違いです。
バルブには全く違う二つの仕事があるんです。
一つが流すか止めるか。
オンかオフか。それだけの仕事です。
もう一つが量を調整する仕事。
どれくらい流すかを決める仕事です。
この二つは全くの別物なんです。
そして仕事が違えば使うバルブも違う。
ここを間違えたらどうなるか。
新品のバルブが一瞬でゴミになります。
しかも厄介なのが壊れたことにすぐ気づかんことです。
半年後にじわじわ漏れ始める。
その時にはもう誰がやったかもわからんのです。
2. ゲートバルブ(仕切弁)を半開にするな
現場で一番よく見るのがゲートバルブです。
仕切弁とも言います。
構造はシンプルです。
板状の弁体が上から降りてきて流路を仕切る。
雨戸やふすまを閉めるのと同じ動きです。
全開にすると流路から弁が完全に消えます。
だから抵抗がほとんどない。
圧力損失が小さいんです。
そして閉めた時の止水力も高い。
優秀なバルブです。
でもこれには絶対のルールがあります。
全開か全閉でしか使ったらあかん。
中間開度は禁止です。
これはメーカーが公式に言うてることなんです。
じゃあ半開にしたら何が起きるか。
弁体が流路の途中にぶら下がった状態になりますよね。
そこに流体が猛烈な勢いでぶつかる。
弁体が細かく振動し始めるんです。
チャタリングと呼ばれる現象です。
その振動で弁体がシートにぶつかり続ける。
コンコンコンと金属同士が当たり続けるんです。
そしてシートが摩耗する。
流体の勢いで削られていく。
浸食です。
エロージョンとも言います。
結果どうなるか。
いざ全閉にした時もう止まらんのです。
ガタガタになった弁体とシートの隙間から水がポタポタ漏れ続ける。
締めても締めても止まらない。
そのバルブはもう死んでます。
しかも交換となったら大ごとです。
系統を止めて水を抜いてフランジを外して。
たった一回の半開が半日の工事に化けるんです。
バルブの手前にある配管自体の肉厚も圧力には重要です。スケジュール管の選び方を間違えるとこうなります。
」を舐めるな。Sch40とSch80を間違えて耐圧試験で破裂する絶望-169x300.jpg)
3. 流量調整の主役「グローブバルブ(玉形弁)」
じゃあ流量を調整したい時はどうするか。
グローブバルブの出番です。
玉形弁とも言います。
弁箱が球形やからこの名前がついてます。
構造がゲートとは根本から違うんです。
中の流路がS字になってます。
流体が入って一回上に曲がってまた下に降りて出ていく。
その途中に隔壁があってそこに弁体を押し付けて塞ぐんです。
なんでこの構造やと流量調整ができるか。
弁体が流れの方向に対して真上から降りてくるからです。
横から流れを受けて振動する構造やない。
だから中間開度でも耐えられるんです。
これが流量調整の主役です。
水道の蛇口も多くはこの構造なんです。
ただしデメリットもはっきりしてます。
S字になってる分抵抗がとにかく大きい。
全開にしても圧力が落ちるんです。
だから圧力損失を嫌う場所には使えません。
そしてもう一つ大事な注意点があります。
グローブなら何をしてもええわけやないんです。
メーカーはこう言うてます。
流体による振動が生じるような半開や微開では使わないでくださいと。
ほんの少ししか開けてない状態。
そこを流体が無理やり通ろうとする。
すると振動が出ます。
その振動で弁棒が折れることがあるんです。
弁体や弁座面も傷みます。
グローブは中間開度で使える。
でも振動が出るような極端な絞りはあかん。
そこは押さえといてください。
4. 一撃で開閉する「ボールバルブ」の便利さと罠
三つ目がボールバルブです。
穴の空いた球が中で回るだけ。
レバーを90度倒せば全開。
もう90度で全閉。
早い。
わかりやすい。
開いてるか閉じてるかがレバーの向きで一目瞭然です。
便利やから若手はどこにでも使いたがるんです。
でも罠があります。
まず一つ目。
これが意外と知られてません。
ボールバルブも半開禁止なんです。
ゲートと同じです。
メーカーが公式に半開では使用しないでくださいと言うてます。
半端に開けると球の縁に流れが集中する。
そこでシートが損傷して漏れの原因になるんです。
流量調整用として作られたボールバルブは別です。
でも普通のボールバルブはオンオフ専用やと思ってください。
そして二つ目の罠。
ウォーターハンマーです。
これが本当に怖い。
レバー一つで一瞬にして流れを止めますよね。
でも中を流れてた水には重さと勢いがあるんです。
その水が行き場を失う。
ドーンという衝撃波が発生して配管を突き上げる。
これがウォーターハンマーです。
その衝撃圧は常用圧力を大きく超えます。
配管がガタガタ揺れる。
支持金物が緩む。
そして一番弱いところが壊れる。
溶接部や継手です。
ここで一つはっきりさせときます。
太い配管にボールバルブを使うな。
そう言う人がおりますがこれは正確やありません。
大口径のボールバルブは普通に存在します。
問題は口径やなくて閉じる速さなんです。
太い配管で流速が速くてそれを一気に止める。
この組み合わせが最悪なんです。
だから大口径にはギア操作機がついてます。
ハンドルをグルグル回してゆっくり閉じる仕組みです。
対策も同じ発想です。
全閉する直前はゆっくり締める。
急に手首を返して閉めるな。
そして流速そのものを抑える。
水の場合管内平均流速が3m/秒を超えるとキャビテーションや振動やエロージョンが出やすくなります。
塩ビ管なら原則2m/秒以下にせえと言われてます。
流速を設計で抑えとけば水撃も小さくなるんです。
バルブと配管を繋ぐフランジの規格を間違えても悲惨なことになります。5Kと10Kの罠はこっちに書きました。

5. 結論:バルブ一つに現場の命と品質がかかっている
整理します。
止めるだけならゲートかボール。
量を調整したいならグローブ。
ゲートは半開禁止。
ボールも半開禁止。
グローブは中間開度で使えるが振動が出る微開はあかん。
ボールは急に閉めるな。
たったこれだけです。
でもこれを知らんままとりあえず回せばええと思ってる人が多すぎるんです。
ゲートを半開にしてシートを潰す。
ボールを一気に閉めて溶接部を割る。
そして数ヶ月後に原因不明の漏れが出る。
その時誰も自分のせいやとは思わんのです。
バルブはただの部品やない。
中に流れるものと圧力とその系統の役割。
それを全部理解した上で選ぶもんなんです。
図面にバルブと書いてあるだけなら疑ってください。
何のためのバルブか。
止めるためか。
調整するためか。
その問いを立てられる人だけが完璧な選定をできるんです。
そしてそれができるのが本当の現場監督なんです。
本日もご安全に!

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