図面を描くとき迷うことがあります。
加工の順番まで書いたほうがいいのか。
親切のつもりで工程を指示する。
でもそれは加工屋の領分に踏み込んでいるかもしれないんです。
私は図面を加工屋に出す側です。
加工順をどこまで書くかの線引きを話します。
加工方法は基本プロに任せる。無理な順番だけ図面で書く
先に言い切ります。
加工方法は基本プロに任せる。
どう作るかは加工屋がいちばん分かっています。
だから加工の順番までこちらが細かく指示することはしません。
ただし例外はあります。
順番を間違えると製作できないものや要求する品質を満たせないものです。
そういう部品は必要な条件を伝えます。
基本は加工方法を任せる。
守ってほしい条件だけ伝える。
この線引きが今日の話です。
加工順は基本書かない。餅は餅屋
まずは基本の考え方からいきます。
なぜ加工順を書かないのか。
答えはシンプルです。
餅は餅屋やからです。
加工方法はなぜ加工屋に任せるのか
加工のプロは加工屋です。
どんな段取りでどう作るのが一番いいか。
それを一番分かっているのは作る人なんです。
私は出す側で作りの専門家やありません。
その私が手順まで指図するのは筋が違います。
任せるところは任せる。
加工方法は加工屋の判断に任せるようにしています。
加工屋が勝手に判断せず確認を返してくる理由はこの記事で書いています

書きすぎは加工屋の領域を侵す
ここで気をつけたいことがあります。
加工方法まで必要以上に縛ると加工屋の判断の余地を狭めるんです。
よかれと思って工程まで細かく書く。
でもそれは加工屋の判断や工夫の余地を奪うことになります。
その現場にはその現場のやり方があります。
使う機械も段取りも違うので必要のない工程指定まで入れると、加工屋がやりにくくなることがあります。
だから加工方法として任せられることには口を出さない。
それが加工屋への敬意でもあるんです。
それでも書くべき「順番が命」の部品
とはいえ何も書かないわけやありません。
書かないと成り立たない部品があるんです。
ここが線引きの肝です。
任せるのが基本でも守ってほしい条件はきちんと伝えます。
順番や条件を外すと成り立たないものは書く
線引きはこれです。
順番や条件を外すと成り立たないものは書く。
その順番で進めないとどこかで詰む部品。
後から手が入らなくなって完成できない部品です。
そういうものは黙っていたら成り立ちません。
だからこそ順番を図面で伝えるんです。
中から順に組まないと溶接できない例
具体的な例を一つ挙げます。
中から順に組まないと溶接できない部品は書くんです。
強度がいる溶接がある部品。
中から順に組んで本溶接していかないと中が溶接できなくなるものがあります。
先に外側を閉じてしまうと中の溶接に手が届きません。
だから組む順番を先に決めておかないと成り立たないんです。
こういう部品は順番そのものが品質を左右します。
だから任せる基本とは別に条件として図面で伝えるんです。
熱処理と機械加工の順番を間違えると歪む話はこの記事にまとめています

任せる領域と伝える領域の線引き
ここまでの話を線引きとして整理します。
任せる領域と伝える領域を分けるんです。
私が基準にしているのは加工屋が自由に決めていい方法なのか。
それとも製品を成立させるために守ってほしい条件なのかです。
加工方法として任せられることは任せる
加工方法として任せられることは任せる。
加工屋が当たり前に判断できる工程には口を出しません。
どの機械で削るか。
どの順で仕上げるか。
そこは基本プロの領分です。
もちろん設計上どうしても順序を拘束する必要があるときは別です。
そこは条件として伝えます。
製作上守ってほしい条件は伝える
逆に伝えるのはここだけです。
製作上どうしても守ってほしい条件を図面で伝えます。
順番を外すと成り立たない。
そういう勘所だけをこちらから渡すんです。
全部を指示するのやなく要所だけ伝える。
これが任せると伝えるのちょうどいい線引きなんです。
図面に材質や処理をどこまで書くかの考え方はこの記事にまとめています

まとめ。餅は餅屋。無理な順番だけ図面で伝える
もう一度整理します。
加工方法は基本プロに任せます。
どう作るかは加工屋がいちばん分かっています。
だから加工屋が判断できる加工方法までは細かく指定しません。
ただし順番や条件を外すと製作や要求品質に影響する部品は別です。
中から順に組まないと溶接できないような部品は条件として伝えます。
任せるのは加工方法。
伝えるのは製作上どうしても守ってほしい条件。
この線引きを守るんです。
餅は餅屋です。
プロの領分を信じて任せつつ要所だけ渡す。
それが出す側の役目やと思っています。

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