図面に±0.1と書いてある。
この数字がどこまで許されるのか分からないまま部品を作りはじめる。
新人の頃はこれで冷や汗をかきます。
公差の意味を知らずに数字だけ見て進めると後で痛い目に合うんです。
しかも公差は数字を守れば終わりやない。
そこまで含めて今日は整理していきます。
寸法公差とは許される寸法の範囲を決めるもの
先に結論を言います。
公差は許される寸法の範囲を決めるものです。
厳密には上限と下限の寸法差を公差と呼びます。
ただ初心者のうちはここまで作ってOKという幅のことやと押さえておけば十分です。
どんな加工でも図面の寸法ぴったりに仕上げるのは物理的に無理があります。
だから基準の寸法に対してここまではOKという範囲を決めてあるんです。
±0.1と書いてあれば基準からプラス0.1マイナス0.1まで。
その範囲に収まっていれば合格という読み方になります。
ただし数字を守れば十分かというとそうでもありません。
相手部品や設計の意図まで見ないと現場では困ることがあります。
私は製缶上がりで加工屋に図面を出す発注側もやってきました。
その立場から公差の話をしていきます。

±0.1はどこまで許されるのか
±0.1の読み方はシンプルです。
±0.1は基準からプラス0.1マイナス0.1までという意味になります。
基準寸法が100なら許される寸法は99.9から100.1まで。
このとき上限と下限の差は0.2でこれが公差の幅になります。
100.05でも合格。
99.95でも合格。範囲の中に収まっていればいいわけです。
図面には一つずつ公差を書く方法だけやなく一括で指定する方法もあります。
それが普通公差でJIS B 0405に長さ寸法と角度寸法の許容差が定められています。
普通公差は個々に公差の指示がない寸法へ適用するものです。
図面のすべての寸法に±を書くのは大変なので、一括でこの等級という形で指定します。
等級は精級、中級、粗級、極粗級の四つに分かれています。
私が扱ってきた図面では中級を見ることがありました。
一つ注意しておきます。
普通公差は基準寸法の区分によって許容差の数字が変わります。
小さい寸法と大きい寸法で同じ±ではありません。
だから個別公差がない寸法は図面に示された普通公差の指定を確認してください。
製缶と機械加工で公差の感覚はまるで違う
ここは新人が一番戸惑うところやと思います。
同じ公差という言葉でも作るものが違えば求められる精度の感覚が変わります。
私が経験した製缶と機械加工品では求められる精度の感覚がかなり違いました。
私がやってきた製缶では0.5で仕上げることもあるくらいの感覚でした。
鉄板を切って曲げて溶接して組む。
熱も入るし歪みも出るのでコンマ以下を追い続ける場面ばかりではありません。
一方で機械加工の精度が厳しい部品はまるで別物です。
精度が要る加工面に塗装したら、寸法が変わると加工屋から言われたことがあります。
塗膜の厚みですら寸法に効いてくるということです。
だから精密な寸法管理が要る部品では表面処理まで含めて図面指示を確認します。
私は機械加工を自分でバリバリやってきたわけやありません。
ただ発注側として図面を出してきたので、加工屋の精度がどれだけシビアかは分かります。
だから公差の数字を見るときはどんな部品の図面かをまず考えます。
自分の慣れた感覚のまま別の世界の図面を読むと痛い目に合うんです。
公差の+-が逆に書かれていた図面もあった
ここで一つ現場のあるあるを書いておきます。
図面は完璧やと思い込むと足をすくわれます。
私は公差の+-が逆に書かれた図面に出くわしたことがあります。
おかしいと感じて設計に確認したら実際に誤記だったんです。
これは誰が悪いという話やなくて人が描く以上こういうことは起きます。
だから図面に書いてあるからと何も考えずに従うのは危ないんです。
ただし非対称の公差を見ただけで間違いと決めつけてはいけません。
プラスとマイナスで幅が違う指定はわざとそう描いていることもあるからです。
おかしいと思ったら手を止めて設計へ確認する。
これは公差に限らず図面と付き合ううえでの基本やと思っています。
公差の数字だけで判断せず相手部品と設計意図も確認する
ここが今日いちばん伝えたいところです。
公差だけでなくどこに使う部品かも確認する。
公差の範囲に収めるのは大前提です。
そのうえでその部品がどこでどう働くのかを頭に入れておく必要があります。
たとえば何かにはめ込む部品なのか。
何かを受ける側なのか。
組み合わさる相手によって効いてくる寸法が変わります。
きつすぎて入らない。
緩すぎてガタつく。
はめ合う部品ではこのあたりがシビアになります。
そのため穴と軸など組み合わさる部品では個別の寸法公差や、はめあいが指定されることがあります。
穴と軸の組合せにはJIS B 0401のようなサイズ公差と、はめあいの考え方があります。
ここで気をつけたいのが自分の判断で勝手にプラス寄りマイナス寄りを狙わないことです。
プラス側やマイナス側を狙う必要があるように感じたら自分で決めず設計や加工屋へ確認します。
だから私は仕上げる前に組み合わさる相手やはまる場所を想像します。
そのうえで図面の指定に疑問があれば必ず設計へ確認するようにしています。
加工屋に出すときの削り代の考え方はこの記事にまとめています

まとめ。公差は範囲を守り、使う場所まで考える
もう一度整理します。
公差は許される寸法の範囲を決めるものです。
±0.1なら基準からプラス0.1マイナス0.1まで。
まずはこの範囲を守るのが基本になります。
そのうえで数字を守るだけで終わらせない。
どこに使う部品かを考えて疑問があれば設計へ確認する。
製缶と機械加工では求められる精度の感覚が違うこともあります。
自分がどんな部品の図面を見ているのかを意識するだけでも読み方が変わってきます。
溶接では隙間にも許される範囲があってその話はこの記事で書いています

公差は範囲を守り使う場所まで考える。
そこまでやって初めて図面通りに作ったと胸を張れるんやと思います。

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