MENU

図面に材質・熱処理・表面処理はどこまで書く?1枚で伝わる図面の考え方を解説

図面を描いた。
でも加工屋から問い合わせの電話が鳴る。

材質は何ですか。この処理はどこまでですか。
そんなやり取りで時間が溶けていくんです。

私は図面を描く側でもあります。
指示する側から見た材質と処理の書き方の話をします。

目次

材質も熱処理も表面処理も「製作に必要な情報を迷わないように」書く

先に言い切ります。
材質も熱処理も表面処理も製作に必要な情報を迷わないように書く。

私はその図面を見れば迷わず製作できる状態を目指しています。
その図面を渡された人が他に何も聞かずに作れる。
それが目指す形なんです。

関連する仕様書や共通指示がある場合はそれも含めて迷わない状態にします。
図面一枚のことだけやなく参照するものまで含めて情報を一意にするという考え方です。

図面や関連する仕様にないことを相手が勝手に読み取ってくれるとは限りません。
だから必要なことは迷わず読み取れる形で書き込むんです。

そしてもう一つ大事なことがあります。
読む人が不安にならない図面がいい図面なんです。

図面に材質はどこまで書く?

まずは材質です。
ここが読み取れないと物が作れません。

材質は何をどう指示する?

材質は図面にはっきり指示します。
どの材料を使うのかを迷いなく読み取れる形で書くんです。

材質は適用する規格や正式な材料記号が分かる形で指示します。
書き方の細かいルールは規格に沿うとして大事なのは省略しないことです。

読む人が材料を選び直したり迷ったりしないように書く。
そこが指示する側の責任なんです。

溶接で一番使うSS400の特徴や発注のポイントはこの記事にまとめています

あわせて読みたい
SS400とは|溶接で一番使う鉄の特徴と 発注・材料取りで気をつけること 私が発注する鉄はSS400が一番多いです。いわゆる普通鋼なんです。 溶接をしていたころも基本はSS400でした。次に多いのがSUS304という感じです。 それくらい当たり前に...

材質の指示が抜けると何が起きる?

材質が読み取れない図面。
これは加工屋を止めます。

材質の指示が抜けると加工屋が手を止める。
何の材料で作ればいいのか分からないから確認するしかないんです。

材質が判断できなければ加工屋は確認せざるを得ません。
支給材や別の仕様で材質が決まっていることもあるのでそこも含めて分かるようにします。

そこで問い合わせが発生して物が止まる。
だから私は材質だけは絶対に落とさないようにしています。

図面に熱処理はどこまで書く?

次は熱処理です。
これも指示が甘いとトラブルのもとになります。

熱処理は図面にどう指示する?

熱処理は必要なら図面に明記します。
どの処理をどの部分にかけるのか。そこを分かるように書くんです。

書くべき項目は処理方法と設計要求によって変わります。
熱処理の種類、要求する硬さ、処理する範囲。
表面硬化なら必要な深さなど設計上必要な性能を伝えます。

すべての熱処理でこれを全部書くわけやありません。
何をどこまで書くかは求める性能しだいで変わるということです。

熱処理の種類そのものはここでは深追いしません。
焼入れや焼戻しなど熱処理の種類の違いはこの記事で解説しています

あわせて読みたい
熱処理とは?焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしの違いを現場目線で解説 図面に焼入れや焼戻しと書いてある。その意味が分からず手が止まった人は多いはずです。 私も熱処理は得意分野ではありません。COLD材の部品を熱処理して歪ませてしまっ...

熱処理の指示が曖昧だと何が起きる?

熱処理の指示が曖昧な図面。
これも問い合わせを生みます。

この部品は焼入れするのかしないのか。
どこまでかけるのか。読む側が判断に迷うんです。

一つ気をつけているのが個別図面だけを見て決めつけないことです。
共通仕様や関連図面に熱処理の指示がないかも確認します。

しかも熱処理は後戻りしにくい工程です。
判断できない指示のまま進めるのは危ないので製作前に確認するようにしています。

図面に表面処理はどこまで書く?

最後は表面処理です。
塗装やめっきといった仕上げの指示になります。

塗装やめっきはどう指示する?

塗装やめっきも図面に指示します。
どんな処理をどこにかけるのかを書き込むんです。

処理の種類だけ書いて安心してはいけません。
部分処理や処理禁止面がある場合はその範囲が分かるようにします。

設計要求によっては処理方法、処理範囲、膜厚や等級、色や仕上げ、処理禁止面などを指示することもあります。
何が要るかは求める仕上がりによって変わるということです。

処理の中身そのものはここでは深掘りしません。
ただ必要な条件を省かないという原則は材質や熱処理と同じです。

処理の範囲や順番はなぜ大事?

表面処理で見落としやすいのが範囲と製作上の条件です。
処理の範囲や製作上必要な条件まで伝えるのが大事なんです。

全面にかけるのか一部だけ避けるのか。
組み立ての前にかけるのか後なのか。これで仕上がりが変わってきます。

ただし加工の順番まで何でも設計側で縛るわけやありません。
処理する順番が製品性能や組立に影響する場合はその条件を明確にするということです。

範囲や必要な条件が抜けていると読む側が想像で埋めるしかありません。
そのズレが後で大きな手戻りになるんです。

異なる金属を組み合わせると起きるもらいサビの話はこの記事にまとめています

あわせて読みたい
SUSと鉄を混ぜるな危険。新人のやらかしから学んだ「もらいサビ」と現場のリアル 見た目は同じボルト。でもその中身が違うってあなたの新人はわかってますか。 私はこれを甘く見て冷や汗をかいた現場があります。今日はその話をさせてください。 結論...

問い合わせが多い図面と、そうでない図面の違い

ここで正直な話をします。
図面には問い合わせが多いものと少ないものがあるんです。

なぜ問い合わせが増えるのか

問い合わせが多い図面には理由がある。
私の経験では必要な情報が読み取りにくい図面ほど問い合わせが増えました。

書いていないのか書いてあっても分かりにくいのか。
どちらにしても読む側が自分で判断できないから確認が要るんです。

ここで一つ断っておきます。
問い合わせそのものは悪いことやありません。

不明な点があるなら製作前に聞いてもらうほうが誤製作を防げます。
私が減らしたいのは書けば防げたはずの確認なんです。

読む人が不安にならない図面とは

問い合わせが少ない図面には共通点があります。
読む人が不安にならないんです。

材質はこれ。処理はここまで。範囲はここ。
迷いどころが先に潰してあるから余計に聞く必要がないんです。

だから自分が書くときは必要な情報をできるだけ先にそろえる。
読む人が手を止めずに最後まで作れる図面を目指しています。

まとめ。いい図面は「製作する人が迷わず進められる」

もう一度整理します。
材質も熱処理も表面処理も製作する人が迷わないように必要な情報をそろえる。

材質は明確にする。
熱処理は必要な性能を伝える。
表面処理は種類や必要な範囲を分かるようにする。

図面や関連する仕様にないことは伝わりません。
だから必要なことを分かりやすくそろえておくんです。

私が目指しているのは読む人が迷わず仕事を進められる図面です。
できるなら問い合わせの電話が鳴らない図面を描きたいと思っています。

図面を渡す相手はその指示を頼りに動きます。
その人を迷わせない一枚を描けたとき図面は本当の仕事をするんやと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

手取り9万整備士から、残業120時間超え現場監督まで走ってきた。
そこで一度心が折れて無職に。
底から再出発!机上の空論は書きません。
本日もご安全に。

コメント

コメントする

目次