「親ガチャ」 最近、この言葉をよく耳にします。 生まれた環境や才能で人生が決まってしまうという、現代の絶望を表した言葉。
「あいつは恵まれてていいな」 「うちは貧乏だから、どうせ無理だ」
そう思いたくなる気持ち、私には痛いほどよくわかります。 なぜなら、私自身が「ハズレくじ」を引いた側の人間だったからです。
父の自死、極貧生活、高卒、そして非行。 10代の頃の私は、世の中のすべてを憎んでいました。「なんで俺だけこんな目に遭うんだ」と、見えない敵に向かって唾を吐いていました。
でも、そこから数十年生きてきて、一つだけ確信したことがあります。 それは、「誰かのせいにしている間は、人生は1ミリも前に進まない」という残酷な事実です。
今回は、かつて運命を呪っていた私が、どうやってその呪縛を解き、泥だらけになりながらも前へ進んできたのか。 説教をするつもりはありません。ただ、今「不公平だ」と嘆いているあなたの心が、少しでも軽くなるようなお話をさせてください。
不公平なスタートラインで、立ち尽くしていた私
私の人生のスタートは、決して恵まれたものではありませんでした。 詳しいことは過去の記事でも書きましたが、父を自死で亡くし、家にはお金がなく、明日食べるものにも困るような生活。
周りの友達が当たり前のように持っているゲームや新しい服を、私は持っていませんでした。 進路の話になれば「大学なんて行けるわけないだろ」と諦めるしかなかった。
「親ガチャ失敗だ」 当時はそんな言葉はありませんでしたが、心の中では常にそう叫んでいました。 親を恨み、環境を恨み、「俺がダメなのは、俺のせいじゃない」と言い聞かせていました。
そうやって誰かのせいにしている時は、一瞬だけ楽になれるんです。 自分は被害者で、悪いのは社会だから、努力しなくていい免罪符がもらえる気がして。
でも、気づいてしまったんです。 「誰かのせいにしても、腹は減るし、現実は何も変わらない」ということに。
「被害者」でいることは、自分を傷つけ続けること

厳しい言い方になってしまうかもしれませんが、過去の自分に向けて言います。
「環境のせいにする」ということは、「私の人生の主導権は、私にはありません」と宣言しているのと同じです。
「親が悪いから不幸だ」と言うのは、「親が変わらない限り、私は幸せになれません」と言っていることになります。 でも、親も過去も変えることはできません。 変えられないものに幸せを委ねていたら、一生、他人の顔色を伺って生きることになってしまう。
それに気づいた時、私は怖くなりました。 「このまま被害者面をして一生を終えるのか? それとも、ボロボロのカードでもいいから、自分で勝負するのか?」
私は後者を選びました。 かっこいい覚悟なんてありません。「このまま惨めな思いをするのは嫌だ」という、意地だけでした。
私は賢くなかったから、「動く」しかなかった
ネットを見ていると、みんな本当に賢いなと思います。 「この環境では成功率が低い」「コスパが悪い」と、動く前から冷静に分析している。
でも、時にはその「賢さ」が足かせになることもあります。 頭で考えれば考えるほど、「やらない理由」ばかりが見つかってしまうからです。
私は、正直言ってバカでした。 勉強もできないし、要領も悪い。高卒でスキルもない。 だから、「正解」を探す頭脳なんて持ち合わせていませんでした。
わからなかったから、とりあえず動くしかなかったんです。
- 手取り9万でも、とりあえず整備士として働いてみた。
- やり方もわからないけど、睡眠時間を削って副業をしてみた。
- 怖いけど、社長という仕事を引き受けてみた。
- 適応障害になったけど、布団の中でブログを書いてみた。
その結果、たくさん失敗しました。遠回りもしました。 でも、不思議なことに、下手くそでも動いているうちに、少しずつ景色が変わっていったのです。
泥臭く手を動かしていたら、職人さんが認めてくれた。 拙い文章でもブログを書いていたら、読んでくれる人ができた。 AIなんて意味不明だったけど、触っていたら仕事の武器になった。
「親ガチャ」の良し悪しなんて、動いている最中は忘れていました。 ただ目の前のことに必死になっていたら、いつの間にか「統括マネージャー」という今の場所にたどり着いていた。 そんな感覚なんです。
今、立ち止まっている「君」は、私より優秀だ

この記事を読んでくれているあなたは、きっと私よりもずっと優秀です。 だって、自分の人生について悩み、検索し、こんな文章を最後まで読んでくれているのですから。
私よりも考える力がある。 私よりも情報を持っている。 もしかしたら、私よりも良い環境にいるかもしれない。
そんな優秀なあなたが、「どうせ無理だ」と諦めてしまうのは、あまりにももったいない。
もし今、何かのせいにしたくなったら、こう考えてみてください。 「このクソみたいな状況を、どうやってひっくり返してやろうか?」と。
配られたカードに文句を言う時間は、もう終わりにしましょう。 手札が弱くても、戦い方次第で勝てるのが人生の面白いところです。
まとめ:正解は、あなたの足跡の中にしかない
私が今日伝えたかったのは、「努力しろ」とか「甘えるな」という説教ではありません。 「自分の足で歩く人生は、けっこう楽しいぞ」というお誘いです。
誰かのせいにしている時の人生は、モノクロでした。 でも、自分で責任を持ってハンドルを握り始めてからは、失敗すらも「自分の物語」になりました。
不安なら、小さな一歩でいいんです。 今日、本を1ページ読む。 今日、ブログを1行書く。 今日、いつもより元気よく挨拶する。
そんな小さな「動き」の積み重ねが、やがて「親ガチャ」なんて言葉を吹き飛ばすくらいの、あなただけの道を切り拓いてくれます。
私ごときが這い上がれたんです。 あなたにできないはずがありません。
さあ、顔を上げて。 他人のせいにするのはここで終わりにして、一緒に前へ進みましょう。


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