「あーあ、今日も何もしないで終わっちゃったな」 「俺の人生、このままでいいのか」
布団に入った瞬間、天井を見上げながら始まる「一人反省会」。 適応障害でダウンしていた頃の私が、毎晩やっていた儀式です。
人間の脳は、放っておくと勝手に「反省」や「後悔」を始めます。これは「ネガティビティ・バイアス」といって、危険を回避するために悪いことばかり記憶する、人間の本能(初期設定)なんです。
でも、メンタルが弱っている時にこの初期設定のままだと、心が壊れます。 だから、「手動」で設定を変える必要があります。

今回は、私がどん底期に実践し、今でも続けている「スリーグッドシングス(3つの良いこと)」についてお話しします。 これは、ペンシルバニア大学の研究でも効果が実証された、「脳を幸せモードに強制変更するトレーニング」です。
ノートとペン(またはスマホ)があれば、今夜から無料で始められます。
「スリーグッドシングス」とは?
やり方は、拍子抜けするほど簡単です。
「寝る直前に、今日あった『良かったこと』を3つ書き出す」
たったこれだけです。 アメリカの心理学者マーティン・セリグマン博士が提唱した方法で、1週間続けるだけで幸福度が上がり、うつ症状が減ることが科学的に証明されています。
「え、そんなことで?」と思いますよね。 私も最初は「そんな子供騙しで治るなら、精神科なんていらねぇよ」と斜に構えていました。 でも、騙されたと思ってやってみたら、世界の見え方がガラリと変わったのです。
メンタル回復の鍵は「ハードルを地面に埋める」こと
このワークの最大のコツは、「書く内容のハードルを極限まで下げること」です。
真面目な人ほど、「契約が取れた」とか「5キロ走った」みたいな立派なことを書こうとします。 でも、どん底の時にそんな立派なことなんて起きませんよね。
私が実際に書いていたのは、こんなレベルです。
- コンビニの新作スイーツが美味しかった。
- 昼寝した時、猫が横に来てくれた。
- 天気が良くて、洗濯物が乾いた。
これでいいんです。いや、これがいいんです。 「生きててよかった」なんて大層なことじゃなくていい。「ちょっとラッキー」を探すのがポイントです。
なぜ、書くだけでメンタルが回復するのか?

これを続けると、脳みそに不思議な変化が起きます。
これまでは「辛いこと」「できないこと」ばかり探していた脳の検索エンジンが、 「今のうちに、夜書くための『ネタ(良いこと)』を探しておこう」 というモードに切り替わるのです。
- 朝、コーヒーを淹れる時 → 「お、いい匂い。これ今夜のネタにしよう」
- 信号待ち → 「青信号で渡れた。これもネタになるな」
現実は何も変わっていません。相変わらず無職だし、体調も悪い日がある。 でも、「良いことを探すアンテナ」が立つだけで、1日の中に小さな幸せがたくさん落ちていることに気づけるようになります。
これが、ポジティブ心理学で言う「幸福感の向上」の正体です。 現実を変える前に、現実を見る「目」を変えるのです。
より効果を高める「ひとこと」添え
慣れてきたら、それぞれの出来事に「なぜ良かったのか?(理由)」を簡単に添えてみてください。
- 出来事: コンビニのスイーツが美味しかった。
- 理由: 奮発して高い方を買ったから(自分にご褒美をあげられた)。
- 出来事: 友達からLINEが来た。
- 理由: 自分のことを気にかけてくれている人がいるから。
こうすることで、「自分は運がいい」「自分は大切にされている」という感覚が、より深く脳に刻まれます。 自己肯定感が低くなっている時こそ、この「理由付け」が効きます。
まとめ:今日から「自分だけの宝探し」を始めよう
コスト0円。所要時間3分。 リスクなし。
やらない理由がありません。
私は今でも、忙しくて心が荒みそうな時は、スマホのメモ帳や手帳に3つの良いことを書き殴っています。 それを読み返すと、「なんだかんだ言って、俺の人生、捨てたもんじゃないな」と思えるからです。
今夜、布団に入る前に。 スマホを置くついでに、メモ帳を開いてみてください。
今日、ご飯が美味しかったですか? お風呂が温かかったですか? この記事を読んで、少しやる気が出ましたか?
ほら、もう3つ見つかりましたよ。 おやすみなさい。いい夢を。

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