「日本の危機管理はどうなっているんだ?」と、耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。 2026年1月6日、東京新聞などの報道により、原子力規制庁の職員が、あろうことか中国・上海での私的な旅行中に、業務用のスマートフォンを紛失していたことが発覚しました。
しかも、そのスマホに入っていたのは、テロ対策などを担う「核セキュリティ」担当部署の職員データ。 一番恐ろしいのは、この事実を規制庁が自ら公表せず、メディアの取材でバレるまで黙っていたことです。
一般企業の感覚からすれば、開いた口が塞がりません。「うっかりミス」では済まされない、日本の情報管理の底の浅さが露呈しました。この事件がいかに異常で、危険なことなのか、怒りを込めて解説します。
事件の全貌:中国・上海で「核セキュリティ」の情報が消えた日
まず、事の経緯を整理しますが、聞けば聞くほど呆れる内容です。
2025年11月3日、原子力規制庁の職員がプライベートで中国・上海を旅行していました。 上海の空港で保安検査を受ける際、手荷物カゴに出した業務用スマートフォンをそのまま紛失したと見られています。
3日後に気づく鈍感さ:平和ボケの極み
信じられないのが、この職員がスマホがないことに気づいたのが「紛失から3日後」だという点です。 業務用端末を肌身離さず管理していれば、その日のうちに気づくはず。3日間も放置していたということは、そもそも「管理する気」がなかったと言われても仕方ありません。
しかも場所は、反スパイ法などで情報管理が極めて厳しい中国です。 もし悪意のある第三者の手に渡っていたら? 3日あれば、パスワードロックを突破してデータを吸い出すことなど、専門家集団なら造作もないことでしょう。
流出した中身:職員の連絡先リストの危険性
紛失したスマホには、原子力施設の警備やテロ対策を担当する「核セキュリティ」部門の職員名や連絡先が登録されていました。 規制庁は「高度な機密情報(核物質の防護情報など)は入っていなかった」と火消しに走っていますが、それは論点のすり替えです。
セキュリティ担当者の「氏名」と「連絡先」が漏れること自体が、最大のリスクです。 特定の職員がターゲットにされ、脅迫やハニートラップ、サイバー攻撃の標的にされる——。スパイ映画の話ではなく、現実のインテリジェンス(諜報)の世界では、こうした「名簿」こそが喉から手が出るほど欲しい情報なのです。
「私的旅行」になぜ業務用スマホ?民間企業との致命的なズレ
今回の件で最も批判されるべきは、「なぜ私的な海外旅行に、業務用の端末を持ち出したのか」という点です。
一般企業の常識:海外への持ち出しは「厳禁」が当たり前
民間企業、特にメーカーや商社、金融機関にお勤めの方ならわかると思います。 情報管理に厳しい企業では、「私的な海外旅行への社用PC・スマホの持ち出し」は基本的に禁止です。 業務で必要な出張であっても、中国やロシアなど特定の国へ行く場合は、普段使っている端末ではなく、データの入っていない「渡航用(捨て)端末」を持たされるのが常識です。
それなのに、国家の安全に関わる原子力規制庁の職員が、プライベートの旅行で、大事なデータが入った端末をぶら下げて上海へ行く。 この感覚のズレは致命的です。「休日も連絡がつくように」という真面目さ故かもしれませんが、それはリスク管理ではなく、単なるセキュリティ意識の欠如です。
「何かあった時のため」?その「何か」を招いたのは自分自身
百歩譲って、緊急時の連絡用だったとしましょう。 それなら、なぜ中国に入国するリスクを考えなかったのでしょうか? 空港の保安検査場は、最も紛失や盗難、あるいは「抜き取り」のリスクが高い場所です。そんな場所に、無防備に業務用端末を持ち込むこと自体が、プロとして失格です。
「公表せず」の隠蔽体質。身内に甘い対応への不信感

そして、組織としての対応もお粗末極まりありません。
都合のいい言い訳:「機密性が高いから」
原子力規制庁は、この紛失事故を公表していませんでした。理由は「核セキュリティに関する事案であり、公にすることで警備上のリスクが高まるから」。 一見もっともらしく聞こえますが、これは「隠蔽のための詭弁」です。
スマホをなくした時点で、すでにリスクは発生しています。 公表しようがしまいが、端末を拾った相手(もし意図的に盗まれたならその組織)には情報は渡っています。国民に隠すことで守られるのは、国の安全ではなく、「担当者と組織のメンツ」だけです。
処分は?注意喚起だけで終わらせるつもりか
現在のところ、庁内での注意喚起とルールの見直しを行うとしていますが、当該職員への処分については大きく報じられていません。 もし民間企業で、会社の顧客リストが入ったスマホを海外旅行でなくして、会社に黙っていたとしたら? 懲戒処分は免れませんし、最悪の場合は解雇もあり得ます。損害賠償を請求されるレベルの不祥事です。
「公務員だから」「悪用された形跡がないから(確認できないだけ)」で済ませるなら、国民の信頼は地に落ちるでしょう。
まとめ:日本の原子力安全は、こんな組織に守られている

今回の事件は、単なる「スマホの紛失」ではありません。 日本の原子力行政の中枢にいる人間が、「情報は盗まれるものである」という基本的な危機感を持っていなかったという証拠です。
- 私的な旅行に業務用端末を持っていく甘さ。
- 中国という場所のリスクを軽視する鈍感さ。
- 不祥事を隠そうとする隠蔽体質。
これらが改善されない限り、いくら原発の壁を厚くしても、中の人間という「セキュリティホール」から日本は危険に晒され続けるでしょう。 原子力規制庁には、民間レベルの厳しい常識を取り入れて、猛省してもらいたいものです。

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