「いくら何でも、王室の人間が逮捕されることはないだろう」
そんな世界中の暗黙の了解(忖度)が、ついに崩れ去りました。
2026年2月19日、英チャールズ国王の弟・アンドルー元王子逮捕。
しかもこの日は、奇しくも彼自身の66歳の誕生日です。
ウィンザーやサンドリンガムの自宅には警察の家宅捜索が入り、彼は王室の威光を完全に剥ぎ取られた「容疑者」として連行されました。
王族の逮捕は1647年以来の出来事です。
彼をここまで引きずり下ろした原因は、ただ一つ。
稀代の性犯罪者、ジェフリー・エプスタインとの黒すぎる交際です。
今回は、なぜ彼が「性犯罪」ではなく別の容疑で逮捕されたのか、そして王室が彼をどうやって「損切り」したのかを、リスク管理のプロとして徹底的にハックします。
なぜ「今」逮捕なのか?アル・カポネ方式の別ルート捜査
ニュースを見て、「なぜ性虐待で逮捕されないんだ?」と疑問に思った方も多いでしょう。
ここに、警察と検察の「確実に息の根を止める戦略」が見え隠れします。
容疑は性犯罪ではなく「公務上の不正行為」
今回の逮捕容疑は「公務上の不正行為(misconduct in public office)」です。
実はアンドルー元王子は、2001年から2011年まで、英国の国際貿易・投資特別代表(貿易特使)を務めていました。
2025年から今年にかけて米国で新たに公開された「エプスタイン・ファイル」の中で、彼が特使時代に得た機密の貿易レポートをエプスタインに転送(漏洩)していた証拠メールが発覚したのです。
これは「マフィアを脱税で捕まえる」のと同じ
性犯罪の立証は、被害者の証言頼みになることが多く、優秀な弁護士に逃げ切られるリスクがあります。
しかし、「公的立場で機密情報を漏洩した」というメールの記録(デジタルタトゥー)は、言い逃れができない「ハードエビデンス(物証)」です。
かつてアメリカ警察が、凶悪なマフィアのボスであるアル・カポネを殺人で捕まえられず、「脱税」で刑務所にぶち込んだのと同じロジックです。
警察の執念を感じますね。
猛毒「エプスタイン」と、アンドルーの絶望的な危機管理
そもそも、なぜ彼ほどの立場の人間が、エプスタインのような人身売買の元締めと関わってしまったのか。
権力者たちの「欲望のハブ」
ジェフリー・エプスタイン(2019年に獄中で謎の自殺)は、未成年少女をリクルートし、富裕層や権力者に提供するネットワークを築いていました。
アンドルー元王子は、共犯者のギレーヌ・マクスウェル経由でエプスタインと知り合い、
彼の私設機(通称ロリータ・エクスプレス)に乗り、邸宅に入り浸っていました。
史上最悪のリスクコミュニケーション
彼を決定的に追い詰めたのは、彼自身の「驕り」です。
疑惑が浮上した2019年、彼はBBCのインタビューに答えました。
そこで、被害者であるバージニア・ジュフレ氏からの「ロンドンで一緒に汗だくで踊った」という証言に対し、「私はフォークランド紛争のトラウマで、汗をかかない体質だったから嘘だ」などと、常軌を逸した苦しい言い訳を展開。
これが大炎上し、彼は公務引退に追い込まれました。
危機管理において「下手な嘘は沈黙より悪い」という教科書通りの失敗です。
悲劇の連鎖
2022年、彼はジュフレ氏に対し、責任を認めないまま推定1200万ポンド(約20億円)という巨額の和解金を支払い、民事訴訟を終わらせました。
しかし、事件の余波は消えず、ジュフレ氏は2025年に自殺したと報じられています。
権力に人生を狂わされた彼女の無念が、今回の逮捕劇の底流にあることは間違いありません。

現場監督視点:チャールズ国王の完璧な「トカゲの尻尾切り」
私がこの一連の騒動で最も注目しているのは、実の兄であるチャールズ国王の組織防衛術です。
腐った柱は切り落とすしかない
建設現場で、シロアリに食われて腐った柱を見つけたらどうするか?
「もったいない」と残せば、家全体が倒壊します。
ジャッキアップしてでも、即座に切り落として新しい柱を入れるのが現場監督の鉄則です。
チャールズ国王(そして生前のエリザベス女王)は、まさにこの「非情な決断」を下しました。
- 2022年: 軍事称号と「HRH(殿下)」の敬称を剥奪。
- 2025年: チャールズ国王により、ヨーク公爵などの貴族称号も実質剥奪。王室所有の邸宅(ロイヤル・ロッジ)からも退去命令。
- 2026年(現在): 逮捕に対し「深い懸念」を示しつつ、警察の捜査を支持。
もし王室が彼を庇っていれば、「イギリス王室は小児性愛者の犯罪を隠蔽する組織だ」と世界中から糾弾され、王室制度そのものが崩壊していたでしょう。
身内を見捨ててでも組織(ブランド)を守る。
CEOとしては100点満点のハックです。

まとめ:特権階級の終焉。隠蔽はいつか必ず暴かれる
「英チャールズ国王の弟・アンドルー元王子逮捕」というニュースは、どんな特権階級であっても、デジタルの証拠(メール)と世論の怒りからは逃げ切れない時代になったことを示しています。
生涯刑の可能性すらある重罪。
かつてヘリコプターパイロットとしてフォークランド紛争を戦った英雄は、自らの欲望と慢心によって、王室の歴史に消えない泥を塗る最悪の「元王子」として記録されることになりました。
組織のトップやリーダー層は、彼の転落を対岸の火事と思わず、「隠し事は、最も最悪のタイミングで必ず暴かれる」という教訓として胸に刻むべきです。

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