転職初日に言われた一言が、これだった。

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入社初日の午後、前社長に呼ばれた。

個室に通された。ドアが閉まった。

「お前みたいな外様が社長をやれると思うな」

これが転職初日の最初の一言だった。

社長として採用されて、初日に言われた言葉がこれだった。

目次
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前日まで何を考えていたか

転職前日の夜、スーツをクリーニングに出していたものを取りに行った。名刺の肩書きに「代表取締役社長」と書いてあった。

何度見ても実感がなかった。

漢字も書けなかった高卒が、社長になる。

自動車整備士から始めて、溶接工になって、施工管理技士になって、17年かけてここまで来た。ビズリーチのスカウトで内定をもらった。

年収は上がった。「社長として全権を持って動いてほしい」と言われた。

前日の夜、妻に「明日から社長だ」と言った。妻は「頑張ってね」と言った。子供はまだ意味がよくわかっていなかった。

翌朝、鏡の前でネクタイを締めた。「やれる」と自分に言い聞かせた。

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初日の午前中

午前中は挨拶回りをした。

社員たちは笑顔で返してくれた。「よろしくお願いします」と頭を下げた。会議に出た。資料を読んだ。「ここで自分は何をすべきか」を考えながら過ごした。

緊張はしていた。でも「やってやる」という気持ちの方が大きかった。

午後になった。

前社長に呼ばれた。

社長なのに上司がいる。外様社長というのはそういうものだ。

関係を築いていけばいい、と思っていた。

「ちょっといいか」

個室に通された。ドアが閉まった瞬間、空気が変わった。

「お前みたいな外様が社長をやれると思うな」

言葉を失った。一瞬、何を言われたのか理解できなかった。

「え?」という顔をしていたと思う。

「聞こえなかったか。外様が社長面するな、と言ったんだ」

これが転職初日の最初の一言だった。

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昔の書類をコピペで出してきた

翌日から「仕事のやり方が違う」という指摘が毎日続いた。

ある日、資料の提出を求められた。俺は自分が作った資料を出した。17年の施工管理で積み上げてきたフォーマットで作った。現場で使い続けてきた形式だった。

資料を見た瞬間、表情が変わった。

「これは使えない。やり直せ」

どこがどうおかしいのか説明を求めた。

次の日、また次の日…

永遠と続く駄目だしにふと気がついた。

前社長が使ってた昔の資料をそのまま一語一句変えず出してやろう。

提出した書類はこれはクオリティーが悪すぎる。

「手を抜くな。何やってるんだ」

との叱責。

「それはあなたが書いた○○案件をそのまま出したやつですが??」

言ってしまった。

「何が言いたいんだ」

大喧嘩になった。

「生意気なことを言うな」

「お前みたいな人間は使えない」

怒鳴られた。でもその日は引かなかった。

それが間違いだったかもしれない。

その日から、風当たりが強くなった。

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自分を雇った会社を買った社長に怒られた

状況が複雑だった。

俺を雇ったのはA社だった。でもA社はB社に買収されていた。B社の前社長が引継ぎでいた。

そのA社の社長が、ある日俺を呼んだ。

「お前、何をやっているんだ」

「怒らして引継ぎができなかったらどうするんだ?」

という叱責を受けた。

実は、転職してわかったことなのだが、私の前に2人引継ぎに失敗しているようだ。

いわば不良債権…

しかし、自分ならやれると信じ会社の為に頑張ったつもりだった…

「言い訳するな」

自分を社長として採用してくれた人間に、今度は怒られた。

裏切られたきぶんだった。

「俺は本当にダメなのかもしれない」

という気持ちが、この日から急速に強くなった。

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適応障害が加速していった

それまでも動悸はあった。吐き気もあった。眠れない夜も続いていた。

でも私を雇ったA社の社長に怒られた日から、症状が一気に悪化した。

朝起きると胸が締め付けられた。会社に向かう車の中で、涙が出てきた。泣くつもりじゃなかった。でも信号で止まると涙が出てきた。拭いてまた走って、また止まると出てきた。

「なぜ泣いているんだ」と自分でも思った。悲しいわけじゃなかった。怒っているわけでもなかった。ただ涙が止まらなかった。

会議に出ても、何を話しているのか頭に入らなくなった。資料を読んでも文字が追えなかった。「今日は何をすればいいか」が整理できなくなった。

夜中に電話がかかってきた。「今日の件、どう思ってるんだ」と言われた。「申し訳ありませんでした」と言った。電話が切れてから、また涙が出た。

妻が「顔色がずっとおかしい。最近全然笑ってない」と言った。

「大丈夫だ」と言った。

全然大丈夫じゃなかった。

その1週間後、妻に「一回病院に行ってきて」と言われて、心療内科に行った。「適応障害です。今すぐ休んでください」と言われた。

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なぜこの話を書くのか

パワハラは被害者のせいじゃない。

「外様が社長面するな」と言った人間が悪い。

でもその頃の俺には、それがわからなかった。毎日否定され続けると、「自分が悪い」と思い始める。それがパワハラの本当の恐ろしさだ。

今、同じような状況にいる人がいるかもしれない。

毎日怒鳴られている人。理不尽な指示を出され続けている人。「自分がダメだから仕方ない」と思い始めている人。

それは違う。環境が異常なんだ。

次の記事では「適応障害と診断された日」の話を書く。

もっと読みたい人へ

この話、音声でも聴けます。

「壊れた私が、AIで再び動き出すまで。」ポッドキャスト配信中。

Spotify・Apple Podcast・Amazon Musicで聴ける。
「takehisa mutoチャンネル」で検索してください。

stand.fmはこちら
https://stand.fm/episodes/69f9e339846973894a32ce36

そしてこのブログの裏側、ポッドキャストを作った記録、数字の全公開はnoteに書いてる。

https://note.com/kublue0101/n/nd5628851848f

壊れたことは、終わりじゃなかった。
私がその証拠だ。

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